
4月13日の開幕から盛り上がりをみせた大阪・関西万博。政府は、想定する来場者の約2820万人のうち、1割超の約350万人を外国人観光客と見込んでおり、周辺地域のインバウンド効果も期待される。実際に、会場では万博を楽しむ多くの外国人観光客の姿もあったが、その一方、スマホでの事前予約制や公式アプリの操作などに苦戦する姿も見受けられた。
母国のパビリオンに感嘆
開催2日目となった大阪・関西万博。
開幕となった4月13日は雨天の中でも多くの来場者が訪れ、その中には外国人観光客の姿も目立った。
政府は約2820万人の来場者数を想定し、そのうち1割超となる約350万人が外国人観光客であると見込んでおり、周辺地域でも観光需要の拡大に期待が高まっている。
今回の万博に対し、会場を訪れた外国人観光客はどう思っているのだろうか。話を聞いてみた。
ダイナミックな山並みの膜屋根が、ひと際目を惹く「ルクセンブルク館」。欧州に位置する小さな国で、パビリオンでは現地の自然や人々の暮らしをデジタル技術を用いて紹介している。
この母国パビリオンをパートナーとともに訪れたルクセンブルク出身の男性(58)も絶賛していた。
「自国のことをすごくよく表現していて素晴らしかったです。ルクセンブルクは人口の47%が近隣など他国からきた移民で構成され、展示モニターではさまざまな国の言葉が飛び交っていたのが象徴的でした。また農業に始まり、ITテクノロジーに向かっていく母国の経済や歴史を非常によく捉えていました」(ルクセンブルク出身の男性、以下同)
今回、日本に来るのは2回目で、16日間の滞在の中で大阪にも立ち寄る予定だったので、開幕を迎えた万博にも来ることにしたという。同じくルクセンブルクに8年住んだことのあるドイツ人女性のリアンさん(41)も同館を大絶賛。
「2018年以来、日本に来るのは2回目で一番の目的はもちろん大阪万博です。3週間の日本滞在のうちの今日が最終日なんですが、会場内のルクセンブルク館もフランス館も、どれも素晴らしかった。特に私は建築にとても興味があって、会場内の独創的な建築物を見て回るだけで楽しい。大屋根リングにも早く登りたい!」(リアンさん、以下同)
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「地図拡大できない」「すぐログアウト」公式アプリに苦戦
完全キャッシュレスに事前予約制を導入した今回の大阪・関西万博。長時間待ちなどもあり、外国人の来場者からはこんな不満も聞かれた。
前出のルクセンブルク人の男性は「チケットもパビリオンも事前予約しなくてはいけないので、操作に手こずりました」
一方、前出のルクセンブルク在住歴のあるドイツ人のリアンさんは完全キャッシュレスに関しては抵抗がないらしい。
「ルクセンブルクではキャッシュレス化がすごく進んでて、むしろそっちの方がスタンダードなんです。逆に現金で支払うほうが抵抗あります」
家族4人で万博に訪れたオーストラリア人のモエシャさん(17)がいう。
「日本に訪れた際に万博が開幕していることを知り、今朝チケットを求めて会場に行きました。ただ人がたくさんいて当日チケットをどこで買えるのか迷ってしまい、誘導された場所も違っていて、時間をかなりロスしてしまいました」
それでも会場内に入ると、大屋根リングには圧倒されたらしく、「早く登りたいです」と足早に駆けていった。
さらに、ブラジルから訪れたマルセーロさん(46)は、
「1年前に日本に来た際、万博が大阪で開催されることを知って、今回再び来日しました。カナダ館や日本館など4つのパビリオンを巡りましたが、どれも素晴らしかったです」
と話しつつ、システム関連では不満を吐露。
「オフィシャルアプリの操作にとにかく苦戦してます。5分以内に入らないとサインアウトになってしまい、そのたびに毎回ログインしなくてはいけないのがとても使いづらいです。チケット購入も難しかったし、パビリオンの展示内容を見る操作も難しかった」
同じくブラジル人のヒカルドさん(54)も、アプリの不便さについて指摘する。
「会場に地図があまり置いてないので、アプリの地図を見ているんですが、拡大できずにわかりづらいんですよ…。行きたいパビリオンがたくさんあるので探すだけで一苦労です」
それでも海外パビリオンで販売されていた現地のケーキをおいしそうに頬張り万博グルメを堪能していたお二人。
多様な国籍の人たちとの交流も万博の魅力のひとつだが、訪れる外国人の中には完全キャッシュレスとなった自販機の購入の仕方が分からず、スタッフに助けを求める姿もあり、外国人への対応が今後求められていきそうだ。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部