マンガの実写化作品において、さまざまな事情からキャラクター設定が「改変」されることは珍しくありません。なかには、完全なる「オリジナルキャラ」が好評を博した例もありました。
高橋メアリージュンのプロフィール写真
【画像】え…っ? 「女体化」して正解かも? こちらが高橋メアリージュンさんが演じた人気の実写オリジナルキャラです
意外な「危険な男」キャラ
毎年数あるマンガやアニメの実写化作品は、基本的に原作に忠実な方が好評なことが多く、オリジナル展開や、原作には存在しない独自のキャラには懐疑的な声が出ます。しかし、なかには実写版だけの魅力的な人物として人気を博し、まさかの大出世を果たしたキャラもいました。
直近の例では、現在Disney+で配信中のホラードラマ『ガンニバル』(原作:二宮正明)にシーズン2から登場した、オリジナルキャラ「後藤理(さだむ/演:中島歩)」が話題を呼んでいます。彼は人食いの習慣があるといううわさの「供花村」で絶対的権力を持つ「後藤家」の一員で、後藤家から抜けたり、一族の和を乱したりするような存在がいないか監視する、危険な人物です。
ミニシアター系で話題を呼んだ『違う惑星の変な恋人』や、ヒットドラマ『不適切にもほどがある!』など、少し情けない雰囲気の優男役が多かった中島さんですが、今回の理は彼の184cmの体躯を活かした威圧的で恐ろしい役柄となりました。人食い儀式の生贄の子供たちを助け出そうとした主人公「阿川大悟(演:柳楽優弥)」たちを襲撃したり、大悟の妻「有希(演:吉岡里帆)」たちの乗る車にトラックで突っ込んで横転させたりと大暴れの理は、最新第6話でのまさかの場所からの登場も話題になっています。
徹頭徹尾悪役のポジションですが、縮れたロン毛に眼鏡で少しひげを生やしたビジュアルのかっこよさと、危険な雰囲気に心をつかまれた人も多いようで、「『ふてほど』の面影は1mmもない治安の悪さがたまらない」「めちゃくちゃクズな奴だけどヴィランとしてめちゃくちゃいいキャラ」「綺麗な中島歩さんしか知らなかったけど、ワイルドな中島歩さんも最高であることが判明」と人気を集めています。
また、原作にはない視点の登場人物として評判となったのは、2024年末公開の映画『はたらく細胞』(原作:清水茜)で登場した「人間キャラ」の「漆崎」親子です。実写版では擬人化した人体の細胞たちと人間側の両方の物語が語られ、健康優良児の女子高生「日胡(にこ/演:芦田愛菜)」の体内は本家『はたらく細胞』の世界、不摂生な父「茂(演:阿部サダヲ)」の体内はスピンオフ『はたらく細胞BLACK』(原作:原田重光/作画:初嘉屋一生)の世界という風に、シリーズをクロスオーバーさせる存在としても機能しました。
この改変によって、体内の細胞たちの働きと人間がどう連動しているのか、という点が分かりやすくなっただけでなく、中盤からはシリアスで泣ける展開も生まれています。大ヒットドラマ『マルモのおきて』以来の親子役での共演となった、芦田さんと阿部さんの演技にも絶賛が相次ぎました。「まさか『はたらく細胞』で泣かされて帰って来るなんて思わなかった」「ここまでやるかと驚くシビアなストーリーに、阿部サダヲ、芦田愛菜の演技がまったく負けていなかった」と、いい意味で予想を裏切られた人も多かったようです。
そのほか、実写版オリジナルキャラで特に出世したと言えるのは、やはり実写『闇金ウシジマくん』シリーズ(原作:真鍋昌平)の「犀原茜(演:高橋メアリージュン)」でしょう。『ウシジマくん』実写版のドラマはシーズン3まで、映画は4作目まで制作されています。
実写版では、さまざまなキャラの設定が原作から変更されていました。主人公「丑嶋馨(うしじまかおる/演:山田孝之)」の天敵である「滑皮秀信」のポジションも、女性の犀原茜になっています。実写ドラマ、映画を手がけた山口雅俊監督は、インタビューで「当初は男性で進めていたものの、キャステイングが難航した結果、性別を変更した」という旨を語っていました。闇金融「ライノー・ローン」を経営している犀原は、食べ方の汚さや、ヤクザの幹部「熊倉義道(演:光石研)」と関係性など、滑皮の設定を一部引き継いでいます。
彼女は基本的に部下や債務者にたいして恐ろしい態度のキャラですが、美しい外見や部下の子供にプレゼントを渡す優しさも持ち合わせており、そのギャップに魅了されるファンも多くいました。彼女の人気はどんどん高まり、2022年には彼女が主人公となるスピンオフ作品のTVドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』が放送されています。