
人気漫画家、東村アキコが自身の実話を描き、第8回マンガ大賞や第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞に輝いた同名作品を映画化した『かくかくしかじか』(5月16日公開)の高校プレミアが4月15日に東京都中野区の宝仙学園高等学校で開催。永野芽郁、大泉洋、見上愛、畑芽育、鈴木仁、森愁斗、関和亮監督が登壇し、撮影裏話や高校時代の思い出を語り合った。
【写真を見る】満面の笑みを見せる永野芽郁と大泉洋 / [c]東村アキコ/集英社 [c]2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
高校生が主人公の映画に合わせて開催された高校プレミアイベントには、約530名にも及ぶ生徒たちが集結。絶叫&拍手を浴びて登場した永野たちは、生徒たちの熱気に圧倒されながらもレッドカーペットを歩き、丁寧にファンサービスを行った。永野は「本当に皆さん元気で…朝眠かったのですが、一瞬で眠気覚めました(笑)」と言うと、大泉も「僕らが少し顔を向けるだけでぎゃあ〜!と…。関監督でもこんなに人気があるなんて(笑)。こんなに盛り上げていただいて感謝しかございません」と笑顔を見せた。
ファンサービスをする永野芽郁 / [c]東村アキコ/集英社 [c]2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
映画『こんにちは、母さん』(24)以来の再共演となった永野と大泉。永野は「(大泉との共演は)心強かったです!前回(共演した際は)撮影日数自体はそこまでなかったので、今回がっつりご一緒させていただいておもしろいし楽しいし、おいしいご飯も連れて行ってくださるし最高でした」と信頼を寄せると、大泉も「前は(永野さんは自分の)娘役で、しかも僕も気の弱いお父さんという役だったんですが、今回は厳しい恩師と生徒という関係性。今回のほうが濃密な絡みがたくさんあって、改めて永野芽郁という役者の凄さを目の当たりにするというか。共演していても油断すると観客になってしまうくらい、すごいなと見入ってしまいましたね」と絶賛した。
見上、畑、鈴木、森は、永野演じる明子とは絵画教室仲間役を演じた。印象的なシーンとして、明子が日高先生に引きずられるシーンを挙げた見上は「コミカルなシーンはもちろん、日高先生が竹刀で指導する気迫に満ちたシーンもあるなかで、皆さん切り替えが早くて。ついていきます!という気持ちでした」と永野や大泉から刺激を受けた様子。
畑は、もともと原作の大ファンだったそうで「明子と日高先生を演じるのがこのお2人だと聞いて、“キャスティングが天才!”と思っていました。観客としてもずっと感動していました」と熱量たっぷりにコメント。同じく原作ファンであるという鈴木は、「今ちゃんというキャラクターを演じることに緊張もあったのですが、初日の撮影から大泉さん演じる日高先生と“ゼロ距離“でにらみ合うシーンがあって、逆にもう大丈夫だと吹っ切ることができました(笑)」と笑い混じりに振り返る。森は、「僕(が演じる川崎くんも)も日高先生から強い言葉を浴びるシーンがあるんですが、個人的にはすごく楽しい撮影でした」と笑顔で振り返った。
さらにキャスト陣が高校時代に強く印象に残っている思い出についてトーク。永野は「学生時代はもうこのお仕事をしていたので、学校にたくさん通えていたわけではなくて…。全日で通うのが難しいかもとなってお別れする時に友だちが寄せ書きをくれたんですが、帰る時にも友だちが窓から見送ってくれた記憶がずっと残ってます。学生時代の友だちは大事だなと思いました」としみじみ語る。
ファンサービスをすると大泉洋 / [c]東村アキコ/集英社 [c]2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
大泉は、「高校時代は目立たない子どもでしたね。友だちとお笑い研究会を作ろうとしていましたが、結局その友だちと僕しか入らなくてやっぱりやめようかと(笑)」と笑いを誘いながら、「いわゆる帰宅部でしたが、学校祭は楽しかった記憶がありますね。フォークダンスをやった時には、自分のところに好きな子が来るのかドキドキしながら待っていたりもしたなぁと。淡いプラトニックな思い出もありますね」と懐かしむ。すると見上も「私は“マイムマイム”してました!」と口を開くが、「先生たちに相談してスピーカーをお借りして、校庭でみんなで集まってやろうとしたこともありました。けれど人が全然集まらなくて…(笑)」と会場の笑いを誘った。
畑は「私はすこぶる勉強が苦手だったので、よく教卓で先生に怒られて泣いてました」と苦い思い出を振り返り、「(授業が)わからなくて、わからない自分にもどかしさを感じて泣けてくるという…。こういうことを繰り返してましたね」と知られざるエピソードを披露。鈴木は「幼稚園、小中高までずっとサッカーを続けていたので、思い出ですね。体育祭でやる全員参加のリレーも大好きで、毎年それだけを楽しみにしていました」と、森は「僕は中学生の時にスケートボードにハマってましたが、受験まで滑ってしまって…(笑)。その後定時制の学校に入学し、兄(森英寿)がきっかけでこの業界に入って夢を持つことができました。なにがあるかわからないので、目の前のことをがむしゃらにやっていた感じですね」と当時を振り返った。
そして最後に大泉が「時代も変わってコミュニケーションが取りにくい時代になってしまったなと思っているなかで、本作は自分の想いをストレートにぶつける教師と、その想いに応えたいという生徒がぶつかり合いながらも成長していく物語です。ぜひ友だちにも観てもらえたらと思います」とアピール。
永野も「完成した本作を観た時に結末を知っているのに泣きました。それでいて笑えて、なんて不思議な魅力のある映画なんだろうと。東村先生の自伝的な物語なので、先生の人生をほんの少しだけ知れた気もしましたし、明子にとっての日高先生のような恩師がいない人でも、人生を変えてくれた人とか、ターニングポイントになる人は頭に浮かぶと思います。そういう人がいたら、ぜひ映画を観て感謝な気持ちを伝えてくださいね」と締めくくり、盛大な拍手に包まれるなか、イベントは幕を閉じた。
文/山崎伸子