
ヤニス・アテトクンボ(ミルウォーキー・バックス)は、2019、20年とMVPに2度選出され、21年にはチャンピオンリングを手にした名実ともにNBAを代表するスター選手だ。一方で、若手時代から変わらない素朴さも人気の秘訣となっている。
そんな彼の“素”の様子があらためて垣間見られたのが、先日ヤニスが出演した、兄タナシスのポッドキャスト『タナシス・ショー』でのひとコマだ。
この日の放送の中でマイケル・ジョーダンの話題になると、ヤニスは、まるで1人のバスケファンのような熱量で、“バスケットボールの神様”に会った時の様子を興奮気味に明かした。
ヤニスがジョーダンと対面する機会を得たのは、22年のオールスターゲーム、『NBA75周年記念チーム』のセレモニーでのこと。
本人曰く、「自分はSNSとかもあまり見ないから、正直、この75周年記念チームのことについてよく知らなかったんだけど、『君もリストに入ってるから』と言われて」出席することになった。
オールスターの試合前にリスト入りした選手たちの写真撮影があり、ヤニスもスーツに着替えて参加すると、そこにはマジック・ジョンソンやラリー・バードといったかつてのスーパースターの姿が。ケビン・ガーネットとアレン・アイバーソンは談笑し、ジェイソン・キッド、ダーク・ノビツキーといった錚々たるメンバーが勢揃いしており、ヤニスは大興奮だった。
しかし、一番のお目当てであるジョーダンの姿が見当たらない。ヤニスが関係者に尋ねると、「マイケルは来られなかったんだ」という答えが。
ヤニスはがっかりしながら、ユニフォームに着替えてオールスター本戦に出場した。
そしてハーフタイムになると、コート上ではセレモニーが行なわれた。75周年記念チームに選ばれた選手1人ひとりの名前が呼ばれ、ヤニスも再びジャケットを羽織ってスポットライトの中を歩いた。
大トリを飾ったのは、マイケル・ジョーダン。会場に彼の名前がコールされると、そこには本人の姿があった。
ヤニスは興奮を抑え切れず、セレモニーが終わるなり「とにかく、彼のオーラだけでも浴びたくて」ジョーダンのいる方へ向かっていった。
その時ヤニスは、「彼は僕の名前くらいは知っていたかもしれないけど、もう試合は見ていないかもしれないし、僕がどんな選手かは知らないんじゃないかと思っていた」が、ジョーダンの元に辿り着くと、ヤニスの手を握って彼はこう声をかけた。
「君がいつも一生懸命にプレーする姿は感動的だよ」
憧れのレジェンドからの夢のような言葉…。「今後2度と彼と会う機会はないかもしれない。それでもいいんだ。あの瞬間は、僕にとって本当に特別なものだったからね」
ヤニスには、これまで出会った中で、一瞬にして自分の心の中を見透かされたかのように感じた人物が4人いるという。
その1人がジョーダン。2人目はコビー・ブライアント。続いてケビン・ガーネット。そして4人目は、ギリシャバスケットボール界のレジェンド、ニコス・ガリスだ。
ヤニスは彼らのような偉人たちと会って言葉を交わした際は、忘れることのないよう言われたことをノートに書き留めて、大事にしているそうだ。
そんな感動的な体験の裏では、試合前にスーツに着替え、ハーフタイムにはまたジャケットを羽織ってセレモニーに参加と、ステフィン・カリーやレブロン・ジェームズらオールスター出場組は多忙な日々を送っていた。それでもヤニスにとって、自身の人生に深く刻まれるかけがえのない瞬間になったことは間違いない。
文●小川由紀子
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