Amazon Prime Videoにて配信中の、フランス発ドラマ作品、実は日本の超メジャーなマンガ作品が原作です。80年代に日本国内でアニメ化され、フランスでもアニメが大ヒット、今回のドラマはそのリブート&実写化といったところになります。



左からアレクシア、タマラ、シリアのシャマード三姉妹が繰り広げるアクション・ラブコメ『CAT’S EYES』

【画像】こちらおヒゲがワイルドなフランスの「俊夫」とキュート&セクシーな三姉妹のメイキングショットです(11枚)

現代のパリを舞台に繰り広げるアクション・ラブコメ

 日本の超メジャー作品を原作とし、フランスにて制作された実写ドラマがいま(2025年4月現在)、Amazon Prime Videoにて配信中です。

 次女「タマラ(タム)」、長女「シリア」、三女「アレクシア」の三姉妹は、10年前に謎の火災で画廊を焼失し死亡した父親の、死の真相を突き止めるため、かつて父親が所有していた美術品を盗んでいくことを決意します……と、ここまでいえばどのような作品か見当のついた人も多いことでしょう。マンガ『キャッツ・アイ』(作:北条司)を原作とする実写ドラマ作品、『CAT’S EYES(キャッツ アイズ)』です。

 本作は原作をベースとしたオリジナルストーリーからなる全8話(1話あたり50分前後から60分)で、舞台を現代のパリに移し、三姉妹が怪盗として繰り広げるアクション・ラブコメ作品です。上述のように原作における「瞳」「泪(るい)」「愛」の三姉妹はもちろん、「俊夫」にあたるフランス警察組織犯罪対策部(BRB)の「カンタン」も登場し、物語を紡いでいきます。

 フランスでは1986年9月より、アニメ『キャッツ・アイ』のフランス語吹替版『Signe Cat’s Eyes』が放送され、その後も再放送が繰り返されるなど人気を博したといいます。上述した三姉妹の名前はこのフランス語吹替版に倣ったもので、そういう意味では今回のドラマ版は、オリジナルを尊重して制作されているといえるでしょう。フランス版三姉妹のファミリーネームは「シャマード」で、よって「来生三姉妹」ではなく「シャマード三姉妹」と呼ばれています。

 ただ、本ドラマ版の内容は完全オリジナルストーリーです。この点について原作者の北条司先生は「オリジナルストーリーというアイデアはとても気に入っていて、原作マンガのストーリーにあまり縛られなくてもいいと思いました」と述べています。

 上述したように、舞台は現代のパリに移されており、たとえば小物としてスマートフォンが登場していました。三姉妹が盗みの際に身にまとうのは、レオタードではなくパルクール用のボディースーツです。「俊夫」にあたる「カンタン」は、「瞳」にあたる「タム」とは交際していたものの物語開始時点ですでに破局しており、署内にその後できた交際相手の女性がいます。そして第1話は、エッフェル塔を舞台に上へ下へと駆け巡るアクション劇です。

 このように、原作とはだいぶ異なる設定、内容ではあるものの、一方で『キャッツ・アイ』のエッセンスはそこかしこに感じられるといえるでしょう。北条先生は、原作に縛られなくてもいいとはいえ、いくつかの守ってほしいルールはあったといい、次のように述べています。

「例えば、キャッツは人を殺さない、美術品を大切に扱う、父親と関係のある絵画以外は盗まない。そして、盗みに使う道具もちゃんと買う。彼女たちはただの泥棒ではなく、父親の真実を知ろうとする若いふつうの女性なのです」(北条司先生)

 こうしたところに忠実であるからこそ、人物の名前も、舞台となる場所も、そして時代さえも異なる作品であるにもかかわらず、「らしさ」をきちんと味わえるのではないでしょうか。

「リメイク」や「リブート」が珍しくない昨今において、本作『CAT’S EYES』も言うなれば「リブート&実写化」ということになるのでしょう。エッフェル塔、ベルサイユ宮殿、さらにはルーブル美術館といったフランスの名所を背景に、現代に舞い降りた「シャマード三姉妹」の活躍全8話、連休のイッキ見にはちょうどよいボリュームかもしれません。

 なお、Amazon Prime Videoでは2025年4月現在、日本語吹替版が配信されています。キャストはそれぞれ、タマラ(次女)役、寿美菜子さん、シリア(長女)役、白石涼子さん、アレクシア(三女)役、久保ユリカさんという顔ぶれで、2025年9月からDisney+で独占配信が予定されている完全新作アニメ『キャッツ・アイ』ともひと味違う三姉妹の掛け合いが楽しめるといえるでしょう。

※「キャッツ・アイ」の「・」は、正しくはハートマーク。
※「Signe」の「e」は、正しくはアキュートアクセント付き。

(C)THOMAS BRAUT/BIG BAND STORY/TF1