
「芸能界のご意見番」がいつまでも和田アキ子や上沼恵美子でいいのか、と常々、思っていた。かといって、アンミカやバービーにしゃしゃり出られるのは大迷惑だ。
誰かいないものかと秘かに探していたのだが、9月21日の「バカリズム×山口智子 ちょっと聞いてよ!ぐちバカリ」(MBS・TBS系)を見て「こんなところにいたか!」と確信した。それこそが山口智子だ。
山口は登場するなり、バカリズムをハグ。身長170センチの山口が、公称165センチのバカリをムギュッと抱きしめる絵面は、なかなかインパクトがあった。これが男女逆なら即セクハラ案件だが、そうはならないのは、山口の人徳ゆえだろう。バカリは困惑しつつも嬉しそうだったし…。
山口とバカリはその昔、ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」で共演。山口の今回の番組出演は、そんなバカリが心配だから来た、という。おかげで、面白いものを見せてもらった。
番組は視聴者からの悩み相談に答えるもので、例えば美容の話題が出た時、モデルの安斉星来が「1から100までちゃんとやらないと寝られない」と自身のスキンケアを語る。そこで山口はキッパリと言った。
「でも60年生きてきてわかったことは、表面塗りたくっても何も始まらないってこと。いちばん効果があるのは旅。旅してると、意外にピチピチが溢れてくる。行って帰ってくると、日常が輝き出してくる」
「夫に帰宅直前に『ご飯ある?』と連絡されるとモヤモヤする」という視聴者の悩みににもズバリ。
「夫婦でも最低限の礼儀とか緊張感って大事じゃん。それはすごくウチら、気を付け合ってるよ」
夫・唐沢寿明とのエピソードをサラリと交えつつ、
「これはヤツの、ウチの夫の言葉だけど、『本当の愛は見返りを求めない』」
唐沢をしっかり持ち上げる発言も。夫の悪口を言いまくる上沼恵美子より、100倍いい。やっぱり令和のご意見番は、こうでなくては。
ソファーに座る際、足を組んで扇子であおぎながらという、ともすればエラそうに見えるスタイルも、山口だから絵になる。それは桃井かおりのバラエティー番組での振る舞いに通じるものがあり、大物女優のオーラさえ感じる。
「こんなことを言うと炎上するかも!?」などという小さなことは気にせず、言いたいことを歯に衣着せず直球で言うところも、ご意見番の素質あり、だ。
令和の「芸能界のご意見番」は山口智子で決まり! こんな逸材がいたかと、嬉しくなった。
(堀江南/テレビソムリエ)

