
公明党の連立離脱によって、永田町が大混乱に陥っている。
自民党の高市早苗総裁は当初、自公連立の継続を大前提に、一部野党との連携工作を水面下で進めていた。中でも熱視線を送っていたのが国民民主党で、いずれかの時点で同党を閣内に取り込むことによって、自公国連立で衆参両院における政権与党の過半数を回復させ、政権運営を安定化させることができると算段していた。
一方、国民民主党側もこの間、玉木雄一郎代表をはじめとする党幹部が、高市総裁や麻生太郎副総裁と秘かに気脈を通じ、首班指名後の自公連立政権との連携のあり方などについて、前向きな協議を重ねていた。ところが、である。「まさか!」の自公連立崩壊によって、水面下工作の全てが水泡に帰してしまったのだ。
ちなみにその後、立憲民主党の野田佳彦代表は国民民主党と日本維新の会に呼びかけ、3党が一致結束して玉木代表を次期総理に担ぐ政権奪還構想を提案。しかし当の玉木代表は「総理への覚悟」を口にする一方で、立憲側がおよそ飲めそうにない厳しい条件を突き付けるなど、及び腰としか思えない姿勢を晒し続けている。
そんな中、自民党内から耳を疑う仰天プランが飛び出した。石破茂総理と高市総裁を同時に並び立たせる、いわゆる「総理・総裁分離」という奇策中の奇策によって、石破政権をさらに延命させるというものである。全国紙政治部記者が明かす。
「延命期間は11月中旬までの約1カ月間とされています。首班指名が行われる臨時国会の召集を先送りすることで得られる総総分離期間をフルに使って、離婚未満の別居状態にある公明党を連立に復帰させるための条件整備や説得工作を行う。それとともに、一部野党に対しても、自公再連立を前提にした連携協議を改めて呼びかける、という窮余の一策です」
ルール上、総総分離作戦は実施可能だが、そうなれば、間もなく訪日する米トランプ大統領との首脳会談をはじめ、この間の外交日程は全て石破総理に委ねられることになる。今回、非主流派に転落した自民党の有力議員はすっかり諦め顔で、次のように嘆息している。
「仮に自民党がこんな奇策に打って出るとすれば、友好国の首脳らをはじめとして、日本に対する対外的な信頼が地に堕ちてしまう。その上、野党からも有権者からも、完全に見放されてしまうだろう。このままでは、自民党は本当に終わってしまう」
言うまでもなく、この悲痛な訴えは、高市総裁や麻生副総裁らに向けられたものだ。
(石森巌/ジャーナリスト)

