5月10日、3歳マイル王決定戦にあたるNHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m)が行なわれる。
先週の天皇賞(春)は結果として2着に人気薄のヴェルテンベルクが入ったため連勝系馬券は大荒れになったが、優勝したクロワデュノールやアドマイヤテラ(3着)のような確固たる中心的存在がいた。しかしNHKマイルカップで有力馬とされる馬は数多く、かつどれもが一長一短で、どの馬をクローズアップするかに悩みは尽きない大混戦模様だ。
推奨馬の紹介に入る前に、まず上位人気になるであろう2頭の取捨に触れたい。それは「皐月賞組」で、13着のカヴァレリッツォ(牡3歳/栗東・吉岡辰弥厩舎)と、15着のアドマイヤクワッズ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)。この2頭は昨年の朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、阪神・芝1600m)の1、2着馬であり、カヴァレリッツォは直行で皐月賞に臨んで大敗し、アドマイヤクワッズは弥生賞(GⅡ、中山・芝2000m)の3着を経て皐月賞で大負けした。皐月賞は逃げたロブチェンが勝利を掴んだように、先行有利の流れだったが、そこでお互いに3番手付近の好位を進みながら急激に失速して勝ち馬から1秒以上も差を付けられたのは、仮に資質がマイラーであったとしても、あまりにいただけない。ここからの一気の復活劇はないと見て、今回は思い切って無印とする。
一方、総合力でトップに挙げられるのはロデオドライブ(牡3歳/美浦・辻哲英厩舎)だ。2戦目の1勝クラス(中山・芝1600m)が圧巻だった。難なく数番手に付けてレースを進め、直線でゴーサインを受けるとノーステッキのままで後続を3馬身置き去りにして勝利。上がり最速の33秒5で、1分32秒1の好時計を叩き出した。続くニュージーランドトロフィー(GⅡ、中山・芝1600m)はスローペースに嵌って差し損ね、クビ差の2着に敗れてしまったが、それでも上がりは33秒9を計時し、デビュー戦から3戦連続で上がり最速の末脚を使っている。
東京コースは今回が初体験となるが、辻調教師は「回り自体は右回りより左回りの方がいいと思いますし、ストライドが大きい馬なので、小回りよりは広いコースに変わるほうが走りやすいのではと思います」とコメントし、これを不安材料とは考えていない。ニュージーランドトロフィーのように若さゆえの取りこぼしがあるかもしれないが、好位に付けられるレースセンス、確実に伸びてくる鋭い末脚を考えると、総合力で馬券に絡む確率が一番高いのは本馬だと判断し、これを「軸」のニュアンスの強い本命に指名したい。 対抗にピックアップしたいのが、朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、阪神・1600m)で4着となったエコロアルバ(牡3歳/美浦・田村康仁厩舎)。初戦の1400m戦(新潟)を豪快な追い込みで勝ち上がると、2戦目に臨んだサウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ、東京・芝1600m)もゲートで後手を踏んだものの、直線8番手から一気に突き抜け、2着に1馬身半差を付けて重賞初勝利を飾った。その後に臨んだ朝日杯フューチュリティステークスこそ、重馬場が堪えたのか、初の右回りに戸惑ったのか伸び切れず4着に敗れたが、その後は放牧で成長を促し、十分な調教を積んできた。
田村調教師は、「体幹はもともと良かったですが、さらに良くなっていますし、反応の良さもここ1か月の稽古では抜群です。仕上げとしては完全に仕上がったなと、今日の追い切りで思いました」と自信を隠さない。父は安田記念(GⅠ)勝ち馬のモズアスコット、母系は日本ダービー馬ウイニングチケットらを出した名門・藤原牧場が誇るロツチ系と、血統的な魅力も十分。得意の左回りに戻って4戦目での戴冠を目指す。
3番手には、前記2頭をまとめて面倒を見る可能性があるバルセシート(牡3歳/栗東・松下武士厩舎)。収得賞金は400万円に過ぎないが、チャーチルダウンズカップ(GⅢ、阪神・芝1600m)で3着に入って優先出走権を獲得した。この馬も武器は鋭い末脚。全5戦中、4戦で上がり最速の追い込みを披露。ゲートの出が悪いため追い込み一辺倒になるので取りこぼしが多いが、まともにスタートを切るか、レースが速く流れれば一発があっても驚けない。本馬は今後、日本ダービーを目指すとのことで、上位に食い込んで賞金を上積みするのが必須となっている点にも注目したい。
4番手以下に指名するのは3頭。マイルの距離に不安を残すが、朝日杯フューチュリティステークスで2着したのち、ファルコンステークス(GⅢ、中京・芝1400m)で強い勝ち方をしたダイヤモンドノット(牡3歳/栗東・福永祐一厩舎)。シンザン記念(GⅢ、京都・芝1600m)の覇者で、チャーチルダウンズカップ(12着)をひと叩きされて状態が上昇カーブを描いているサンダーストラック(牡3歳/美浦・木村哲也厩舎)。そして締めに、最大の穴馬として、アイビーステークス(L、東京・芝1600m)勝ち馬のアンドゥーリル(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)を挙げておく。本馬は、左回りが〔2・0・0・0〕、右回りが〔0・1・0・2〕と、“左利き”の傾向が見られる。実績のある左回りに舞台が戻って、一発があるならこの馬だ。
文●三好達彦
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