
太陽系の最果ての惑星、海王星には16個の衛星の存在が知られています。最大の衛星はトリトンですが、ほかの衛星とは逆方向に公転していることなどから、冥王星と同じような太陽系外縁天体が海王星の重力によって捕獲されたものではないかとみられています。トリトンが捕獲された際には、海王星の衛星系に大きな影響を与えたと考えられています。

惑星の赤道面とほぼ同じ平面上で円に近い軌道で公転する衛星を「規則衛星」といいます。一方で軌道が細長く、また軌道面が大きく傾いている衛星は「不規則衛星」と呼ばれます。こうした不規則衛星の多くは、惑星が形成されたあとで、周辺を通りかかった天体が重力によって捕獲されたものだと考えられてきました。
衛星ネレイドは、極端に細長い軌道で公転していることから不規則衛星に分類されてきました。太陽系が誕生してまもないころの原始太陽系円盤にあった微惑星が海王星にとらえられたものではないかとも考えられてきたのです。ただネレイドは、ほかの巨大惑星の不規則衛星と比べると惑星に近いところを公転しており、また軌道傾斜角も小さく逆行もしていないという特徴がありました。
ネレイドの組成は太陽系外縁天体と異なっていた

ネレイドをジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で観測したところ、海王星以遠にあるかつての微惑星の生き残りと考えられている太陽系外縁天体とは組成が大きく異なっていることがわかりました。むしろ天王星の衛星などと同じく、海王星の周辺で形成された規則衛星に近い特徴を持っていることが明らかになったのです。
研究チームはコンピューター・シミュレーションにより、トリトンが捕獲された際の重力的な影響によって、規則衛星だったネレイドがはじき飛ばされ、現在のようなゆがんだ軌道をもつようになった可能性があることを示しました。

海王星で2番目に大きな衛星プロテウスなど、トリトンより内側にある衛星は、トリトン捕獲の際に一度破壊された破片が集まってできたラブルパイル天体とみられています。もともと海王星周辺で形成されていた初期の衛星群のうち、ネレイドはトリトンの捕獲の際の影響を乗り越えて生き残った唯一のオリジナルの衛星である可能性があるとのことです。
(参考)「海王星」関連記事一覧
(参照)Caltech、Nereid as a regular satellite of Neptune

