カメラもそうだけど、もともと、考えたり迷ったりするより「やってみないとわからない」ってタイプなんですね。プライドを捨てて、わからないことは聞くのが大事。どうしてもダメなら、そこでやめたっていいんですから。【体験談】西本喜美子(写真家・93歳)

プロフィール

西本喜美子(にしもと・きみこ)

1928年生まれ。46年に美容学校を卒業、美容院を開業。50年に競輪選手に転身し、55年に引退、結婚。専業主婦として3人の子を育て上げる。97年、長男のアートディレクターで写真家の和民氏が、熊本で写真教室「遊美塾」を開校すると、2000年に自身も入塾。72歳でカメラを始める。ユーモアあふれる自撮り写真が人気を呼び、11年、熊本県立美術館分館で初個展を開催。16年、88歳にして初写真集『ひとりじゃなかよ』を発刊。翌年に東京で開いた個展では17ヵ国のマスコミから取材を受ける。受賞多数。18年にインスタグラム(@kimiko_nishimoto)を開始し、フォロワー数は24万人に迫る勢い(2021年4月現在)。世界中から注目を浴び続けている。

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カメラには全く興味がなかった

ゴミ袋に入った自分を撮った写真は、一躍話題となった。老いを笑いに変える、ユーモラスな「自虐写真」が世界中に発信され人気を呼んでいる。

私は、93歳になります。今でこそ、こうして取材を受けることが多くなりましたが写真を始めたのは72歳のとき。今では、カメラを肌身離さず持つほど、写真が大好き。人生、わからないものですね。

7人兄弟の次女としてブラジルで生まれ、8歳のときに日本に帰国しました。美容師としてお店もしていたのだけど、弟が2人、競輪の選手になってね。各地を回って旅するのを目にしていたら、うらやましくなって私も競輪選手になっちゃった

カメラもそうだけど、もともと、考えたり迷ったりするより「やってみないとわからない」ってタイプなんですね。

夫と結婚し、競輪選手を引退してからは、子育てに専念していました。これというほどの趣味も、なかったんですよ。夫は風景写真を撮るのが好きで、つきあって出かけることはあったけれど、私はカメラには、少しも興味がわきませんでした。

ところが、おもしろいものでね。長男が写真の塾をしているのだけど、あるとき、塾の生徒さんが我が家に遊びに来たんです。

見せてもらった作品に感心していたら、「いっしょにやりましょうよ」と誘われて。後日、「写真塾に行きましょう」と家まで迎えに来てくれました。

じゃあせっかくだから……と出かけたら、初めて撮った写真を皆にほめられて、すっかり楽しくなりました。それが、カメラを趣味にしたきっかけです。

夫に「私も写真を始めたい」と話したら、驚きつつも、一眼レフのカメラを貸してくれました。そのときは使い方がさっぱりわかりませんでしたが、写真塾に入って、教えてもらいながら撮るうちに、操作を覚えました。仲間から「いいね」といわれると、うれしくてね

私がどんどんのめり込むのを目にした夫は、その後、カメラを買ってくれました。9年前に亡くなりましたが、応援してくたことに、感謝しています。もらったカメラは、今でも大事に使っていますよ。

虫干ししている夫の服にそでを通して遠隔操作でパチリ。