油料理や納豆に酢をかけると……

私は、酢の研究者でもあるとともに、実は、無類のお酢好きでもあります。 

私の大好物といえば、酢をたっぷりかけた堅焼きそば。酢を瓶ごとお店に持ち込んで、ドボドボと堅焼きそばにかけます。量にして80ml はかけるでしょうか。見た人は、例外なく驚きますが、これがおいしいのだから仕方ありません。

酢には、油の粒子を細かくする作用があるため、油料理との相性が抜群なのです。油のうま味はそのままに、さっぱりとした味わいになるから、はしが止まりません。

それから、納豆に小さじ1杯ほどの酢をたらすのも絶品です。納豆のネバネバが酢で膨らんでふわっとなり、独特のにおいも消えます。納豆が苦手な人でも、これなら食べやすいのではないでしょうか。

酢は、料理の味をワンランクアップさせてくれるほか、驚くほどの健康効果を持っています。それこそ、酢の真骨頂といえるでしょう。

では、すでに科学的に証明されている、数多くある酢の効能についてご説明しましょう。

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大さじ2杯の酢が血圧に効果

血圧の上昇抑制

酢の主成分である「酢酸」には、血圧を上昇させるホルモンを穏やかに抑える働きがあります。高血圧の人を対象にした実験では、1日に大さじ1杯(15ml )の酢をとるグループと、大さじ2杯(30ml)の酢をとるグループに分けて、血圧の変化を調べました。

その結果、大さじ2杯とったグループでは、週間で最大血圧が平均15㎜Hg程度、最小血圧は平均6㎜Hg程度、低下することがわかりました。

ちなみに、血圧が正常な人の場合、酢を飲んだことで、血圧が下がり過ぎることはありませんので、ご安心ください。

注意したいのは、酢の血圧を下げる効果は、「飲み続けないと得られない」という点です。

この研究でも、8週目に酢の摂取を止めたところ、その後は血圧が上昇しています。ただし、摂取前よりも上昇することはありませんでした。

また、塩分の取り過ぎは高血圧によくないことは知られていますが、実は、酢には塩味を引き立てる作用があります。

酢を少量、料理に加えることによって、少量の塩でもおいしさが引き立つのです。ぜひお試しください。