生活習慣病の治療をうまく進めるためには、食事や運動といった生活習慣の改善が欠かせません。トマトは多くの健康効果を備えており、トマトみそとして食べることで、その効果はさらに高まります。リコピンやカリウム、GABAの作用から、糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症のかたにとっても、有用でしょう。【解説】増渕孝道(トマト内科 糖尿病・高血圧・甲状腺クリニック院長)

解説者のプロフィール

増渕孝道(ますぶち・たかみち)

トマト内科 糖尿病・高血圧・甲状腺クリニック院長。東北大学卒業後、楽器の開発者としてヤマハ株式会社に勤務。その後医師を目指し、名古屋市立大学医学部卒業。JA愛知厚生連知多厚生病院(副医局長)、名古屋市東部医療センター、済生会宇都宮病院などでの勤務を経て、2017年トマト内科を開院。低糖質の食事ができるカフェや運動スタジオ(いずれも現在は休業中)を併設し、地域の人々の健康をバックアップしている。
▼トマト内科 糖尿病・高血圧・甲状腺クリニック(https://tomatoclinic.jimdofree.com/)

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病気と老化の原因物質を強い抗酸化力で消去

私は、2017年に現在のクリニックを開院し、「トマト内科」と名づけました。

南米アンデス山地が原産地のトマトは、強い生命力を持っており、リコピンをはじめさまざまな栄養成分を含んでいます。トマトをクリニック名に掲げたのは、覚えやすいということに加え、トマトの優れた健康効果が頭にあったことはいうまでもありません。

私は日ごろ、糖尿病専門医、高血圧専門医として、多くの患者さんを診察しています。生活習慣病の治療をうまく進めるためには、食事や運動といった生活習慣の改善が欠かせません。

例えば、糖尿病の患者さんには、病気の程度にもよりますが、糖質制限を一つの柱として食事を変えてもらいます。

糖質を制限しつつ、野菜を先に食べるなどの食べ方指導も行いますが、食事内容の改善を進めるために、「トマトみそ」のような健康効果のある調味料を活用するのもお勧めです。

ここでは、トマトに含まれる基本的な各栄養素について、みそとの相乗効果も踏まえてお話しながら、トマトみその優れた点について、解説しましょう。

リコピン

トマトといえば、リコピンを思い浮かべるかたが多いでしょう。リコピンは、トマトの赤い色素成分です。強い抗酸化力があり、病気と老化の原因物質である活性酸素を消去。これによって、動脈硬化や生活習慣病の予防・改善効果が期待できます。

リコピンには、脂肪を蓄積する脂肪細胞の成長を抑制する作用があることがわかっています。このため、メタボ予防の点からも勧められます。

リコピンは、比較的熱に強く、炒めても壊れにくい成分です。しかも脂溶性なので、トマトみそのように、トマトを油で炒めてから摂取すると、吸収しやすくなります。

グルタミン酸・アスパラギン酸

トマトの旨みは、アミノ酸であるグルタミン酸とアスパラギン酸によってもたらされます。この旨みのおかげで、塩分を減らせます。トマトみそを旨み調味料として利用すれば、塩やみそだけで味つけするよりも、減塩効果が期待できるでしょう。

また、みそには必須アミノ酸がすべて含まれています。

必須アミノ酸とは、人体のたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で十分に合成できない9種類のアミノ酸のこと。これが含まれているということは、良質なたんぱく質であるあかしです。

トマトのアミノ酸に加え、みそのアミノ酸をともに継続的に摂取すれば、健康的な体づくりに貢献するでしょう。

クエン酸

トマトの酸味はクエン酸です。クエン酸の働きで疲れを取る効果が期待できるため、体力を消耗したときや、夏バテ時などに勧められます。

ケルセチン

トマトの皮部分に多いポリフェノールの一種で、抗酸化作用があります。トマトには、ビタミンCも含まれているため、リコピン、ケルセチン、ビタミンCという三者の抗酸化力の働きで、紫外線により発生する肌の活性酸素を消去し、肌の老化予防や美肌効果をもたらすと考えられます。

食物繊維

トマトの食物繊維は、便秘の解消や、食後の血糖値・コレステロール値を下げるのに役立ちます。トマトみそにすれば、発酵食であるみそをいっしょに摂取することができ、腸内環境を整えるのにも有効です。

カリウム

カリウムは体内の余分な塩分や水分を排泄する働きがあります。塩分が排出されることで、血圧を下げ、むくみの解消効果も期待できます。

GABA

GABAは、アミノ酸の一種です。ストレスを軽減させる効果やリラックス効果があり、脳内の興奮を鎮めて、落ち着かせてくれます。また、血圧降下作用もあるとされています。