
自動車を購入すると、購入費用以外にも車の維持費用がかかります。
ガソリン代や駐車場代はもちろんのこと、自動車税や保険料といった支払いも発生します。
想像するよりも高額な維持費用が発生するケースも珍しくないので、あらかじめ内訳を把握して、維持費用の支払いに備えておかなければなりません。
そこで今回は、自動車の維持費用の内訳と、節約するためのコツについて解説していきます。
車の維持費の内訳
一般的に、自動車を購入した後には次のような維持費用が発生します。
車の維持費の内訳
自動車税
保険料
燃料・ガソリン代
駐車場代
車検代
ローンの金利
それぞれの内容についてわかりやすく解説していくので、これから自動車を購入しようと考えている人は、しっかりと確認しておきましょう。
自動車税
自動車を購入すると、維持費として「自動車税」や「自動車重量税」がかかります。
自動車税は、軽乗用車(軽自動車)・普通乗用車(普通車)などの区分で分けられており、自動車の総排気量によって税額が変動します。
以下、2021年11月時点における最新版の自動車税・軽自動車税をまとめましたのでご覧ください。
参照:新車の「自動車税」が毎年減税!|大きく変わった、クルマの税(経済産業省)参照:自動車の税って何があるの?|大きく変わった、クルマの税(経済産業省)
上記の表の通り、軽自動車は一律10,800円の軽自動車税が発生し、普通車の場合は総排気量によって25,000〜110,000円の間で変動します。
なお、自動車税や軽自動車税は、4月1日時点における自動車の所有者に対して課税され、原則として翌月の5月中に納税しなければなりません。
2019年(令和元年)以降に購入した車の自動車税が減税
2019年(令和元年)10月より、自動車にかかる税額が大きく変更されました。
上述の一覧表の通り、2019年10月1日以降に自動車を購入した場合、それ以前と比べて、自動車税が1,000〜4,500円も軽減されるようになりました。
全排気量で自動車税が引き下げられるのは、1950年の制度創設以来、初めてのことで、自動車購入における税負担が緩和されています。
また、消費税率引き上げ時に「自動車取得税」が廃止され、燃費が良い車(エコカー)であるほど税負担が軽減されるようになっています。
さらに、エコカー減税やグリーン化特例の適用期間も延長されたため、様々な観点で自動車税が大きく減税される運びとなっています。
自動車重量税
自動車の維持費用として、車の重量に応じて発生する「自動車重量税」もあります。
自動車重量税は、自動車を購入する際に3年分、以降は車検を行うタイミングで2年分の自動車重量税を納めることになります。
自動車購入時と車検時それぞれで税額が変動するので、以下の一覧表で事前にご確認ください。
※2021年5月1日からの自動車重量税を参照しています参照:新車新規登録を受ける場合|自動車重量税額について|国土交通省
※2021年5月1日からの自動車重量税を参照しています
参照:継続車検を受ける場合|自動車重量税額について|国土交通省
保険料
自動車で必要な「保険料」には、大きく分けて次の2種類が挙げられます。
自動車に必要な保険料
自賠責保険(強制保険)
自動車保険(任意保険)
それぞれの保険料について解説していきます。
自賠責保険(強制保険)
「自賠責保険」は、自動車を運転する人全員がもれなく加入する保険のことで、「強制保険」とも呼ばれています。
自動車の種類や契約期間に応じて保険料が変動するので、以下の一覧表で確認しておきましょう。
参照:自賠責保険基準料率表(2021年1月28日適合性審査終了)|自賠責保険基準料率|損害保険料率算出機構
なお、自賠責保険の保険料は、車検を行うタイミングで、次回の車検までの分を払い込むのが一般的です。
自動車・バイクの「自賠責保険」とは?任意保険との違いや補償範囲をかんたんに解説
自動車保険(任意保険)
「自動車保険(任意保険)」は、自賠責保険では補填しきれない範囲をカバーすることを目的とした保険です。
自賠責保険は、相手のケガや死亡における賠償責任を補填してくれますが、自分と相手の自動車本体、自分自身のケガについては一切の補償が受けられません。
自動車保険は任意加入なので、未加入でも罪に問われることはありませんが、補償範囲が全く違うことから、万が一の時に備えて自動車保険にも加入するのが一般的です。
損害保険料率算出機構の調査データを参考にすると、任意自動車保険の保険料は平均して60,000〜75,000円程度となっています。
任意自動車保険 保険料平均
普通車:平均73,600円(保険料1,237,365,537,000円÷契約台数16,812,078台)
軽自動車:平均57,557円(保険料904,287,256,000円÷契約台数15,711,147台)
参照: 自動車保険統計 第13表 任意自動車保険 用途・車種別統計表(2019年度)|損害保険料率算出機構
なお、自動車保険の保険料は、保険会社や補償内容、契約時における運転者の年齢などによって大きく異なります。
上記はあくまで参考程度に留めておき、詳細については保険会社まで問い合わせをするのが良いでしょう。
燃料・ガソリン代
自動車を運転する上で欠かせないのが「燃料・ガソリン代」です。
ガソリン代は都道府県によって変動し、1ヵ月でどれくらいのガソリン代がかかるかは、自動車の燃費具合や走行距離によっても変わります。
例えば、レギュラーガソリン代が160円/1Lと仮定して、自動車の燃費が20km/1L、年間走行距離が10,000kmの場合は、10,000km÷20km×160円で年間80,000円のガソリン代となります。
電気自動車の場合は充電にかかる電気代が必要となるので、どれくらいの費用がかかるかをある程度シミュレーションしておくのが良いでしょう。
駐車場代
自動車を購入した後は、車を停めておくための「駐車場代」も発生します。
日本駐車場検索のデータを参照すると、東京都内の月極駐車場相場情報は次のとおりです。
東京都内の月極駐車場 相場情報
機械式:月額平均36,710円
平面:月額平均28,832円
ただ、駐車場代金はお住まいの市区町村によって大きく異なります。
また、同じ地域であっても、青空駐車場や舗装されておらず砂利のままだったり、駅から離れていたりすると、駐車場代金は安くなる傾向にあります。
車検代
自動車を購入すると、定期的に「車検代」がかかります。
車検代として発生する支払いの一例は、次のとおりです。
車検代として発生する支払いの一例
法定費用(自動車重量税・自賠責保険料・印紙代など)
車検基本料金(車の基本点検技術料、整備技術料、代行手数料など)
その他の諸経費(部品交換、検査手数料など)
これらの費用を合わせると、2年ごとや3年ごとの車検時に、毎回数万円以上の支払いが発生する計算となります。
また、車検をした際に自動車で不具合が見つかった場合は、修理代金としてさらに費用が上乗せされることになるので気をつけましょう。
ローンの金利
自動車を購入する際、ローンを利用した場合には「ローンの金利」も発生します。
金利の金額については年利何%のローンを利用したかによって大きく異なります。
場合によってはローンの借換えを検討するなどして、金利を少しでも安くできないかを検討してみましょう。
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車の維持費を節約する方法
ここまで、自動車を購入した後にかかる「車の維持費」について解説しました。
数多くの項目があることに加え、それぞれで数千〜数万円の支払いが発生するので、年間で考えると車の維持費用は非常に高額となります。
そこで、車の維持費を少しでも節約するために、次の3つの方法をお試しください。
車の維持費を節約する方法
重量の低い車や軽自動車を選ぶ
燃費のいい車を選ぶ
自動車保険を見直す
重量の低い車や軽自動車を選ぶ
自動車の維持費用として、大きな割合を占めるのが「自動車税」や「自動車重量税」です。
これらの税金は、自動車の重量や車種によって税額が大きく変わります。
そのため、自動車本体の重量が低い車種や、軽自動車を選ぶことで、自動車の維持費として発生する税負担を減らすことができます。
ただし、自動車の用途によってはコンパクトカーだと不十分なケースも考えられるので気をつけましょう。
燃費のいい車を選ぶ
これから自動車を購入するのであれば、燃費の良い車を選ぶことで、自動車の維持費の節約につながります。
例えば、燃費や排ガス性能の良い自動車を購入すると、税金の負担を時限的に軽減する特例措置として、次の特例が使えるようになります。
自動車における税負担を軽減する特例措置
エコカー減税:自動車重量税・自動車取得税に対して適用される減税特例
グリーン化特例:自動車税・軽自動車税に対して適用される減税特例
例えば、車両価格が税抜200万円・重量1.5t・排気量1,500ccで、燃費達成度が2020年度燃費基準+30%を達成している自動車を購入する場合の軽減率は、次のとおりです。
また、上記のケースで自動車を購入した場合、グリーン化特例による軽減率は約22,500円となります。
非常に大きな金額を節税できるようになるので、これから自動車を購入される際は、エコカー減税やグリーン化特例といった減税制度を利用できる車種を選ぶのもおすすめです。
自動車保険を見直す
現在加入中の「自動車保険」を見直すことでも、自動車の維持費用の節約につながります。
自動車保険は、民間の損害保険会社が販売しているので、ほぼ同等の補償内容でも保険会社によって、月々の保険料が変わってきます。
代理店型の自動車保険に加入している人は「代理店手数料」が発生している場合があるので、ネット型の自動車保険に乗り換えれば、手数料分を節約することが可能です。
また、子供が産まれた際に加入した自動車保険を長期契約している場合、子供が独立したあとは補償内容が過剰となっていることも考えられます。
その時々に合わせて補償内容を見直すことで、非常に大きな金額の節約につながるので、一度も保険の見直しをしたことがない人は、これを機に自動車保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
自動車保険とはどんな保険?車保険の比較や乗り換え・見直しタイミングを解説