「健康志向の食品」として注目の高カカオチョコレートにはどんな効果があるのでしょうか? 体内の酸化防止や腸内環境改善について解説します。
店頭で売られているチョコレートの中には、「カカオ70%入り」「カカオ85%」など、高カカオを強調した商品が増えてきました。一般のミルクチョコレートなどは、カカオ成分20~35%、そこに砂糖が25~55%、そのほか、粉乳やカカオバターなどが含まれています。一方、高カカオチョコレートは、カカオの成分を全体の70%以上まで増やし、そのほかの成分を極力抑えているので、単なる嗜好品というより「健康志向の食品」として摂取する人が増えているようです。
では、高カカオチョコレートによって、どんな効果が期待できるのでしょうか?
「カカオポリフェノール」でからだの酸化防止
人間のからだは日々、酸化(=活性酸素)と闘っています。本来、活性酸素はからだの中に侵入してきた細菌などを攻撃して、私たちのからだを守ってくれるもの。ですが過剰になると、正常な細胞や遺伝子をも攻撃し、老化や生活習慣病、がんや動脈硬化といったさまざまな病気の要因になるといわれているので、あまり増やしたくない物質です。
活性酸素は呼吸によって取り込まれた酸素から発生しますし、紫外線やストレスや喫煙などでも発生します。生きている以上、私たちとは切っても切れない関係です。通常、この活性酸素を増やさないよう、からだの中には、抗酸化物質が備わっているのですが、この物質は20代をピークに徐々に少なくなってしまうと言われています。だから、抗酸化物質「ポリフェノール」を食品として摂取することがとても大切なのです。
さらに、ポリフェノールは、短時間で作用するものの、持続はしないため、毎日“ちょこちょこ”とることがおすすめです。
「カカオプロテイン」で、腸内環境を整える
カカオに含まれているタンパク質「カカオプロテイン」は性質上、小腸では消化されにくく、大腸まで届きます。その結果、有用な腸内細菌のエサとなり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、腸内環境を改善します。
高カカオチョコレートを継続的にとることにより、「フィーカリバクテリウム」という善玉菌が増えることもわかっていて、健康的な高齢者の腸内に多く存在することから、「長寿菌」とも呼ばれています。
また収穫されたカカオの実は、1週間ほどバナナの皮に包み、発酵させてから乾燥させ、焙煎するという加工をたどる「発酵食品」でもあります。
ほかにも、血管拡張効果が期待できる物質も入っているので、血流改善にもつながり、からだの不調を改善してくれるという報告もあります。
体内の酸化を防ぐことも、腸内環境を整えることも、美肌や体調を整えることに直接つながります。間食に、なんとなく食べているチョコレートを、ちょっとリッチな高カカオチョコレートに代えてみる。ぜひ、お試しください。
参考書籍
『病院・薬いらずの高カカオチョコ習慣』(栗原 毅)
『カカオでからだの劣化はとまる』(井上 浩義)
おくだじゅんこ/管理栄養士
広島生まれ。2004~2012年の8年にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。
病院栄養士を経て、現在は広島酔心調理製菓専門学校にて、調理師やパティシエの卵たちと「健康且つおいしい!」を追求し、日々奮闘中。