無理のない糖質制限とスクワットがおすすめ

糖尿病には1型と2型があります。1型はインスリンの分泌が不足する病気ですから、薬による治療が必要です。

対して、2型は生活習慣病。食事の改善と運動で、治らない2型糖尿病はありません

私はボディビルを趣味としていたことから、糖尿病の治療に効く筋肉トレーニングを長年にわたり研究。実践を重ね、患者さんの治療に役立ててきました。

一例を挙げましょう。39歳の男性患者さんは体重100kg超で高血圧症があり、通院していました。ところが6.9%だったA1cが、1年のうちに11.1%に上がってしまい、糖尿病も治療が必要になりました。

すでに高血圧の薬を服用していたうえ、比較的若い患者さんだったことから、薬を使わず、食事療法と運動療法を指導しました。

すると、1ヵ月もせずにA1cが9.7%に降下。3ヵ月で6.6%、5ヵ月で5.4%まで下がりました。体重も最大時より20kg以上減りました。5年以上が経った今でも薬はいっさい使わず、良好な状態を維持しています。

薬物療法を選んでいたら、3~4剤以上を服用することになっていたでしょう。

私の指導する食事療法は、いわゆる糖質制限ですが、行うのは平日の5日間のみ、しかも夕食をご飯抜きにするだけです。間食は控えてもらいますが、土・日は普通に食べてOKですから、無理なく続けられます。

運動療法では、特にスクワットが有効です。太ももの大きな筋肉を育てることで、筋肉への糖の取り込みを促します。

ポイントは、ゆっくりと腰を落とすこと。筋肉が引き伸ばされると、筋肉組織に小さな傷が生じます。トレーニングをしたら、少し筋肉を休ませて、損傷を修復することで、筋肉が肥大化します。ですから、筋トレは週3日程度がベストなのです。

運動療法と食事の改善で治らない糖尿病はない!

食事療法
お菓子や果物は控えたうえで、平日の夕食だけ糖質制限を実践(ご飯などの炭水化物をとらない)。
運動療法
ゆっくり腰を落とす「スクワット」がお勧め。10回を1セットとして1日3セットを週3日行う。

私はよく患者さんに、ロバのたとえ話をします。荷物をたくさん背負わされたロバを山に登らせるには、どうすればいいでしょうか。

鞭でお尻を叩いたら登ってくれるかもしれません。これが、薬を使ってインスリンを分泌させるやり方です。

けれども、それではロバ、つまりインスリンを分泌する膵臓は、疲弊してしまいます。疲れさせないためには、鞭を打つのをやめ、ロバから荷物を下ろしてやればよい。これが、食事療法と運動療法というわけです。

ぜひ今からでも、ロバに鞭打つコントロール法を見直し、積み荷を降ろしてあげましょう。

この記事は『壮快』2022年3月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b598809.html