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 皆さんはカレーの上にのせるトッピングは何がお好きですか? 筆者はダントツでトンカツ。カレーのルウに少し浸るカツ。サクサク部分としっとり部分のコントラストが最高のひと言。食感、ご飯との相性、さらにボリューム感。どれをとってもカツカレーこそがカレートッピングの極北であり王様である、と思っていたのです。つい最近まで…。

 というのも先日、東京・四谷三丁目にある洋食屋『キッチン たか』に行った時、最高峰トッピングのカツを軽々と抜き去る逸品に出合ってしまったのです。それがハンバーグ。「ハンバーグなら普通に食べたほうが美味しいんじゃない?」と思ったそこのアナタ、違うんです。想像の10倍以上、目眩がするくらいこの「バーグカレー」は美味しいんです。

 筆者はこの食体験を通して、これまでカレートッピングの候補にすら挙がっていなかった「ハンバーグ×カレー」に目覚めてしまったのです。


店内はカウンター6席のみ

『キッチンたか』は、丸ノ内線「四谷三丁目」から徒歩5分ほど。荒木町にある小さなお店です。ここに行くことになった経緯は、四谷で働く知人よりもたらされた「ハンバーグがめちゃくちゃウマい店がある」という情報。

 だから、当然ハンバーグを食べようと思っていたんですが、入店した瞬間、カウンターに座っていた先客の男性が、今まさにカレーライスの上にのったハンバーグにナイフを入れる瞬間を目撃してしまったのです。

 ハンバーグの割れ目から堰を切ったように透明の肉汁が流れ出ていく。そしてカレーの湖になめらかに合流していく様子ときたら! これを見たら、もういてもたってもいられません。席に座るなり、恥ずかしげもなく「あれと同じモノを」と口走ってしまったのです。

尋常じゃない美味しさの「バーグカレー」に感激

 注文すると、ご主人がハンバーグのタネをパンパンと両手のひらの間を瞬間移動させつつ空気抜き。そしておもむろにフライパンで焼き始めます。その後、オーブンへ。7~8分待ったでしょうか。

 まずは味噌汁が出され、続いてワンプレートが妖艶な湯気を立てて登場。そこには、山盛りのキャベツ、ポテサラ、そしてカレーライス、その上にふっくら大きなハンバーグが鎮座。なんとも心躍る絶景が眼前に広がります。


「バーグカレー」1300円

 前述の通り、入店時にハンバーグ入刀の瞬間を見てはいたものの、改めてナイフでカットすると「うわっ!」と思わず声が漏れるほどの肉汁が流出。もうこの光景を眺めるだけで心の半分は満足。食べる前から「絶対に美味しい」と確信できます。


ハンバーグから肉汁が流れ出た瞬間!

 ハンバーグをひと口食べてみると、外側はほどよくカリッ、中はフワフワ柔らか。丁寧に捏ねられたことがわかるなめらかさです。非常に濃厚な味わいで、ひき肉のジューシーな旨みが口中にじわじわと広がります。

 そしてカレーはと言えば、こちらもものすごく濃厚。デミグラスソースのようなコクがあって、まさに理想的な洋食屋さんのカレーなのです。


ふんわりやわらかなハンバーグ

 正直言って、これまでの人生で食べたハンバーグの中でも確実にトップレベル。そのハンバーグに濃厚なカレー、粒立ちよく炊かれたツヤツヤのご飯。そしてサイドのポテサラ、キャベツの千切り、自家製のドレッシングまで、全てがパーフェクトでした。

 寡黙なご主人は淡々とオムライスやポークソテーなどを作っていて、カウンターの上に出されるすべての料理が美味しそう。当分、このお店に通って気になるメニューを食べ尽くしたいと思っています。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:キッチンたか

住:東京都新宿区荒木町3-1
TEL:03-3356-2646
営:11:00~20:00 土11:00~15:00
休:日祝