耳ツボマッサージによるツボ刺激は、内耳を満たすリンパ液の循環不全を改善するため、耳鳴りやめまい、難聴といった症状の改善が見込めるのです。その循環不全が起こる原因として、自律神経の働きの乱れも挙げられます。並行して、ふだんの生活習慣の見直しも行いましょう。【解説】河合一志(東洋医学研究センター院長)

解説者のプロフィール

河合一志(かわい・かずし)

東洋医学研究センター院長。鍼灸師。1992年、明治鍼灸大学(現:明治国際医療大学)鍼灸学部卒業。赤坂杏林堂、耳鼻咽喉科高度専門病院の神尾記念病院などでの勤務を経て、2006年に東洋医学研究センターを設立。毎年5000件を超える耳鼻咽喉科疾患の鍼治療を行い、耳鳴り、難聴、メニエール病、顔面神経麻痺などに対して大きな効果を上げている。
▼東洋医学研究センター

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耳の不調に「耳ツボマッサージ」がおすすめ

口を開けるとできるくぼみにツボが3点並ぶ

耳鳴り、めまい、難聴……これらの症状は加齢に伴い、増えていきます。多くのかたは、耳鼻科に足を運ぶかと思いますが、完治に至らないことは珍しくありません。

当院では、そうしたかたに対して「耳ツボマッサージ」という手法をお勧めしています。その名のとおり、耳ツボを刺激することで症状を和らげることができます。

耳ツボの位置は下項をご参照ください。耳ツボマッサージで刺激する3つのツボは、口を開けた際にできるくぼみに縦に並んでいます。

耳の穴の前方に、小さな突起があります。口を開くと、その突起の前辺りに、くぼみができるのがおわかりになるかと思います。

そのくぼみの上側に位置するのが「耳門(じもん)」、中央に位置するのが「聴宮(ちょうきゅう)」、下側に位置するのが「聴会(ちょうえ)」というツボです。

耳ツボマッサージは、その3つのツボを同時に押さえます。10秒間押さえたら5秒休む、これを3回くり返すだけです。時間にして1分もかかりません。

私のお勧めは、これを朝昼晩とそれぞれ行うこと。耳鳴りやめまいの症状が出ているときに行うのもよいでしょう。

ちなみに、ツボの位置を把握できたあとでも、必ず口を開けて行ってください。そうすることで、下顎骨(あごの骨)が下がり、刺激を奥深くまで伝えることができるためです。