カゼのひき始めに、のどがイガイガするなどの違和感を覚えることがあるでしょう。それはのどの上皮細胞にウイルスなどが侵入してきているのです。「重曹クラッカー療法」を行い、口の中を弱アルカリ性にすることで、ウイルスなどの増殖を抑えられる可能性があります。「鼻うがいをしたいけれども、できない」という人にも向いていると思います。【解説】鳴戸理佐(五反田なると耳鼻咽喉科院長)

解説者のプロフィール

鳴戸理佐(なると・りさ)

五反田なると耳鼻咽喉科院長。藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部卒業後、同大学大学院研修医となり、同時に第二教育病院(藤田医科大学ばんたね病院)耳鼻咽喉科に入局。その後、みたき総合病院耳鼻咽喉科にて勤務し、医長に就任。小野耳鼻咽喉科・狛江分院長を経て2017年に五反田なると耳鼻咽喉科を開院。日本耳鼻咽喉科学会専門医・補聴器相談医。
▼五反田なると耳鼻咽喉科

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鼻の奥にある上咽頭の炎症を防ぐことが肝心!

新型コロナウイルスが世間を騒がせるようになり、2年以上が経ちました。ウイルスや細菌による感染症対策は、これまでにないほど重視されています。

感染症を防ぐため、ここだけは押さえておきたいという関門があります。それが、上咽頭と呼ばれる部位です。

上咽頭は、鼻の奥の突き当たりで、外気が最初に入ってくる場所です。ここは、単なる空気の通り道ではありません。免疫細胞の一種であるリンパ球が多数存在しており、ウイルスや細菌が体に入るのを防ぐため、常に臨戦態勢にあります。

ここにウイルスや細菌が侵入すると、防御反応により炎症が起こります。これがのどの痛みや腫れ、熱、赤み、セキ、タンなどといった症状として現れるのです。この炎症が長引き慢性化すると、さまざまな病気が引き起こされます。

実は、私がこの問題について知ったのは、患者さんから「慢性上咽頭炎の治療はしていますか?」と聞かれたのがきっかけでした。

気になって勉強会に参加するうちに、慢性上咽頭炎に対する知識を深め、数年前からはEAT(上咽頭擦過治療)という治療法も導入。多くの患者さんから、喜びの声をいただいています。

加えて、慢性上咽頭炎を防ぐためのセルフケアとして勧めているのが、「鼻うがい」です。

水に塩と重曹を溶かして鼻うがいをすることで、上咽頭を効果的に洗浄できます。実際、鼻うがいは新型コロナの重症化リスクを激減させることが、海外の研究で判明しています。

このように、私はいいと思う治療法や、患者さんの症状軽減につながることは、どんどん取り入れるようにしています。