閉経前後5年間の更年期は体調を崩しがちですが、少しでも快適に過ごす方法はないのでしょうか。レディースクリニックで受けられる女性ホルモン対策、低用量ピルとホルモン補充療法について、産婦人科医・漢方内科医の駒形依子先生に聞きました。

教えてくれたのは…
監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。

低用量ピルは初回の場合40歳以降には処方されない

低用量ピルのイメージ

低用量ピルとは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれる薬で、
●生理痛の緩和
●経血量の減少
●生理前の不調(PMS・PMDD)の改善
●貧血の改善

などの効果があります。卵巣機能の働きを抑える効果があるため、生理の緩和のほか避妊薬として活用する人もいます。

低用量ピルは初めて使う場合、40歳を過ぎている女性には、基本的には処方ができません。血栓症などのリスクが高まるためです。そのため、40歳以降で更年期症状を緩和したいという場合はホルモン補充療法や漢方薬が適しています。

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どんな状態ならホルモン補充療法を受けられる?

つらい更年期症状

ホルモン補充療法は、
●ホットフラッシュ
●頭痛
●動悸
●冷え
●腰痛
●うつ気分
●不眠症状
●皮膚のかさつき、くすみ

などの症状に効果があります。補充するホルモンは人によって異なりますが、エストロゲンとプロゲステロン両方が含まれたものが主流です。「どれも私に当てはまる!」「今スグしてほしい!」という方もいますが、毎月生理が来ている場合、基本的にホルモン補充療法はおこないません。

毎月生理が来ているということは、女性ホルモンが出ているということ。多少、量が減ってバランスを崩しているかもしれませんが補充するほどではないという判断になります。というのも、ホルモン補充療法は不正出血のほか、子宮体がんや乳がんの発症リスクを抑えながら慎重におこなう必要があるためです。子宮体がん、乳がんを経験している方や血液をサラサラにする薬を内服している人には原則禁止となります。また、家族や親族に体がん、乳がんを経験した方がいる場合は禁忌、または慎重投与となります。

ホルモン補充療法を始めるには、
●生理が不定期であること
●卵巣機能の低下が検査で認められること
●更年期症状が強いこと

といった条件が必要です。更年期の症状があれば健康保険が適用されます。薬は内服薬、貼り薬、塗り薬、腟剤と種類があり、種類と量によって違いますが、薬代は月に2,000~3,000円ほどになります。