津波による損害を補償する保険とは?補償内容や保険金の請求方法を解説

地震や噴火によって津波が発生すると、建物やその中にある家具・家電などが被害を負う恐れがあります。2011年3月11日に発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震」では、大規模な津波が発生し、東北地方に甚大な被害を与えました。

火災保険に水災補償をセットしていても、津波による損害は補償されません。しかし「地震保険」に加入していれば、津波の被害に遭ったときに保険金を支払ってもらえる可能性があります。

本記事では、津波による損害を補償する地震保険の補償内容や、保険金の請求方法などを分かりやすく解説します。

津波による被害は「地震保険」に加入しなければ補償されない

津波による損害に備えるためには「地震保険」に加入する必要があります。火災保険は、地震や噴火、それらによる津波が補償対象外となる免責事項に指定されているためです。

火災保険に水災補償をセットすることで、洪水や高潮、土砂崩れなどの水害で建物が流されたり、床上浸水をしたりしたときに補償が受けられます。しかし、地震や噴火による津波で、建物や家財(家具・家電)などが損害を負ったとしても、保険金は支払われません。

地震保険に加入していれば、補償の対象となっている建物や家財が津波によって損害を負ったときに保険金が支払われます。なお地震保険は、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。

地震保険の必要性や加入率、選び方のポイント、いくらになるかの計算方法などわかりやすく解説

持ち家であれば建物と家財の両方を補償

地震保険の補償対象となるのは、火災保険と同様に「建物」または「家財」、あるいはその両方です。建物と家財に含まれるものは、それぞれ以下の通りです。

地震保険の補償対象である「建物」と「家財」

建物:建物本体、門、塀、車庫、物置、設置済みのアンテナなど

家財:建物内の家具・家電・衣服・貴金属 など

一方で、以下に該当するものは、地震保険の補償対象外となります。

地震保険の補償対象外

有価証券(小切手、株券、商品券等)

預貯金証書

自動車

印紙、切手

1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨董

工場や事務所などの住居でない建物

故意もしくは重大な過失、または法令違反による損害

地震発生日から10日以上経過後に生じた損害

戦争、内乱などによる損害

地震等の際の紛失・盗難の場合

火災保険であれば、30万円を超える貴金属や美術品などは、加入時に申告すれば明記物件として補償の対象となりますが、地震保険では補償されません。

賃貸住宅は家財のみが補償対象

賃貸住宅に住んでいる人は、家財のみが補償対象である地震保険に加入します。建物部分の損害については、大家さんが加入している地震保険でカバーされるためです。

入居者自身が地震保険に加入していなければ、室内にあるベッドやソファーなどの家具、パソコンやテレビなどの家電などが、津波で損害を負っても保険金は支払われません。

保険料は、入居者負担となりますが、入居中の賃貸物件が津波の被害に遭うリスクがあるのなら地震保険の加入を検討しましょう。

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地震保険では津波の被害でいくらの保険金が支払われる?

津波による甚大な被害をもたらした東日本大震災では、合計で約1.3兆円の保険金が支払われました。※出典:日本再保険株式会社「地震保険金支払状況

では、地震保険に加入すると、津波の被害にあったとき、いくらの保険金が支払われるのでしょうか。ここでは、支払額の決まり方や上限額の設定方法を解説します。

地震保険の保険金額

津波の被害に遭うと、地震保険からは契約時に決めた保険金額をもとに、被害額に応じて決まる割合の保険金が支払われます。

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定します。例えば、火災保険の建物の保険金額が3,000万円である場合、地震保険の保険金額は900万〜1,500万円です。ただし建物は5,000万円、家財は1,000万円が保険金額の上限となります。

支払われる保険金の算出方法

地震保険から支払われる保険金額は、建物や家財の損害状況に応じて決まります。建物や家財の損害状況と、支払われる保険金の額は以下の通りです。

損害の程度は、一般社団法人日本損害保険協会が制定した「地震保険損害認定基準」に従って認定されるため、保険会社による認定基準の違いはありません。

建物

建物は、柱やはり、屋根など主要構造部の損害状況または、流出消失した部分の床面積の大きさで損害の程度が判定されます。具体的には、以下の通りです。

例えば、津波によって流出してしまった自宅の床面積が延べ床面積の80%である場合は、全損となり、時価を限度に100%の保険金が支払われます。

家財

家財の場合、損害の程度は家財の全体に占める損害を被ったものの割合で判定されます。

例えば、津波によって自宅にある家具や家電、衣類などが洗い流され、家財全体の時価額の70%の損害を負った場合、大半損となり保険金額の60%の保険金が支払われます。