簡単かつ手軽に自律神経を整えられる体操「筋膜プリプリ体操」

20秒かけて体をねじると筋膜がプリプリに!

この悪循環を断つには、何かのきっかけが必要になります。そのきっかけにお勧めなのが、心地よく汗をかく運動です。

そこで、ヨガの指導者でもある私は、簡単かつ手軽に、自律神経を整えられる体操を考案しました。それが、今回ご紹介する「筋膜プリプリ体操」、略して「筋プリ体操」です。

これは、筋膜をねじって伸ばすという体操。なぜそれで自律神経が整うのか、その理由を以下に説明しましょう。

筋膜とは、筋肉や骨、内臓などを覆うコラーゲン組織のことです。その筋膜の周囲にとぐろを巻くように存在するのが、自律神経です。

筋膜は運動して伸び縮みすることで、自律神経を活性化させることができます。しかし、1点だけ問題があります。それは筋膜と筋肉を同じ方向に伸ばしただけでは、十分に伸び切ることができないという点です。そのため、ほとんどの運動は、筋膜への刺激という観点では少々物足りないのです。

そこで、筋プリ体操では、筋膜を効率よく十分に伸ばせる動きを取り入れました。それが、20秒ほどかけてゆっくりと体をねじる動きです。

ここで、ぞうきん絞りをイメージしてください。ぞうきんを一気にギュッと絞ると、そこに含まれていた水分は、勢いよく絞り出されます。一方、ぞうきんをゆっくり絞ると、全体に水分が行き渡り、ひたひたに水を含んだ状態になります。

筋膜にも同じことが起こります。筋肉と筋膜の間にはリンパ液(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)が流れているので、ゆっくりと体をねじることでリンパ液がにじみ出て筋膜が潤い、プリプリの状態になるのです。

その結果、自律神経の働きがよくなるだけでなく、筋肉や関節の動きもスムーズになります。ですから、耳鳴りだけでなく、関節のこわばり改善などの効果も期待できます。

ちなみに、アナウンサーの生島ヒロシさんにもこの体操をお伝えしたところ、自宅の壁にやり方をはるほど気に入ってくださったようです。

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首のこり解消や免疫アップも期待できる

今回は、数ある筋プリ体操の中から、基本の体操として「いすのキャット&カウ」を紹介します(やり方は下項参照)。

これは、いすに座って体をねじり、その後に体側を伸ばす体操で、リンパ液の循環を促す高い効果があります。

注意点は、必ず右から上体をねじること。左側から体を縮めると、腸内の便の動きと逆になり、便秘につながる恐れがあるためです。

「ボー」、「ブーン」など低音の耳鳴りがある人は「ハチの羽音ポーズ」もお勧めです。これは指で両耳をふさぎ、ハチの羽音のような低音で「ん~」とうなる方法です。

声の振動が頭蓋骨に伝わることで、脳に響く耳鳴りをかき消す効果が期待できます。5分ほどで耳鳴りの聞こえ方が変わるなど、多くの患者さんが効果を実感されています。

「キーン」、「ピー」などの高音の耳鳴りや耳閉感がある人は「耳ねじり」を行うといいでしょう。耳は、さまざまな筋膜が集まる部位ですから、自律神経を整える効果をより高めることができます。

基本的には耳の上部だけで構いませんが、中部、下部を含めた3ヵ所で行うと耳の周囲が1時間以上熱く感じられるほど血行がよくなります。これにより、首のこりや張りも改善します。

これらの体操は、自律神経が乱れやすい更年期の女性や運動不足の人、また、コロナ禍でストレスがたまっている人に、特にお勧めです。自律神経が整うと免疫機能(病気に抵抗する機能)も高まるので、感染症予防も期待できます。