どの科を受診する?

受診

婦人科か泌尿器科を受診しましょう

「受診をするなら、婦人科か泌尿器科が良いでしょう。40代、50代であれば重度の方はまだ少ないのですぐに手術となることはまれだと思います。ちなみに重度の症状は以下のようなものです。

  • 下がった臓器を指で押しても戻りにくい
  • 常に股の間に何か挟んだような感じで歩きにくい
  • 臓器が1日中下がって下着にすれて出血する

重力の影響を受けるため、寝ている間は骨盤内に臓器が戻っていても、日中は立つことが多いため時間経過とともに臓器が下がってきます。午後になると特に症状を強く自覚しやすいのが特徴です」(駒形先生)。

軽度なら骨盤底筋群体操で今以上の進行を防ぐ

体操
※骨盤底筋群体操のイメージ

受診をするとどのような治療がされるのでしょうか。

「実は、骨盤臓器脱はある程度進行してないと治療ができないのです。軽度の場合は緩んだ骨盤底筋群を鍛える、骨盤底筋群体操という筋トレを指導します。これは1セット10回の体操を1日3回というトレーニングで、予防するためには継続しないといけません。

それなら受診しなくても良いか、と思われるかもしれませんが思わぬ病気が見つかることもあるので、気になる症状があれば早めに相談したほうが安心です」(駒形先生)。

重度の場合は、引っ込めるか取るかの二択

重度になるとどんな治療があるのでしょうか。

「出てきてしまう臓器を引っ込めるか取るかの二択になります。

引っ込める方法としては、「リングペッサリー」「サポート下着(フェミクッション)」があります。

リングペッサリーは小さなものなら5~6cm、大きなものなら10cmくらいのサイズで、腟内に挿入してフタをする器具です。

フェミクッションは腟に挿入するのではなく、臓器が腟内に戻っている状態で腟口をクッションで押さえ、ホルダーとサポーターで押し上げる下着です。

手術なら、人工のメッシュを入れて骨盤内の臓器を引き上げる経腟メッシュ手術があります」(駒形先生)。

臓器を取る手術にはどんなものがありますか。

「子宮を取り除き、腟壁を縫い合わせる腟式子宮全摘術+腟壁形成術、腟の入り口を閉じて縫い合わせる腟閉鎖術などがあります」(駒形先生)。

一般的にはリングペッサリーで引っ込めながら骨盤底筋群体操を続けるという治療がおこなわれますが、それでも改善されない場合、手術となるそうです。手術を受けるのは70代以降が中心で、経腟メッシュ手術は泌尿器科で、腟式子宮全摘術+腟壁形成術、腟閉鎖術は婦人科でおこなわれるそうです。

(広告の後にも続きます)

まとめ

骨盤臓器脱はその性質上、恥ずかしいからと受診を控えるうちに重度になって受診するケースが多いといいます。しかし、重度になると治療の選択肢は引っ込めるか取るか。軽度のうちに、それ以上進行しないようにできることを続けることがベストではないでしょうか。

取材・文/mido(50歳)
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。

著者/監修/駒形 依子 先生
東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。