
日頃から雲を見て、気候の変化を予測してみる
日頃から気候や雲の変化に目を向けておくことも、豪雨や水害から身を守る手段の1つ。
「突発的な豪雨は気象情報の提供が間に合わないことも多い。なので、日頃から『この雲は怪しい』とか『あの雲はセーフ』などと雲の変化を意識すると、その経験値が危険を察知する力につながります」
中でも、増田さんが「見分けられた方がいい」と話すのは積乱雲(入道雲とも呼ばれる)だ。夏に発生しやすい高さ10キロメートルを超える大きな雲のことだが、その雲の真下では大雨や雷、竜巻などの突風が発生している可能性が高いという。
積乱雲は、強い上昇気流によって鉛直方向に著しく発達した雲
「暑い夏の日に、ヒヤッとした空気を感じたら近くに積乱雲がある可能性が高いです。冷たい空気の正体は上空の積乱雲の中にあった空気で、それが地上に落ちて流れてきたものです。天気が急変する前触れと思っても良いでしょう。また、季節外れの異様な蒸し暑さを感じたときも、天気急変の前触れと言われているので注意が必要です」
積乱雲は「大気の状態が不安定」な気象条件で発生しやすくなる。上空に冷たい空気があり、地上には暖められた空気がある状態で、暖かい空気は上へと昇り、冷たい空気は下へと降りようとするため激しい対流が起きやすくなり、さまざまな気象災害をもたらす。
積乱雲の構造。図は気象庁のサイトより引用
最後に、普段から天気や気象を意識するコツを伺うと「楽しむことです」と増田さん。
「手軽なのは、雲や天気の写真を撮って観察してみたり、明日の天気を家族や友人と予想し合ったりすることでしょうか。予想するときは、天気予報を参考にしても、しなくてもいい。とにかく想像してみることが大切です。予想するなんて面倒と思う人は、いろんな気象予報士が提供する情報を収集して比べてみるのも楽しいし、自然と天気に詳しくなれると思いますよ」
今日役立つ天気対策と親しみやすいつぶやきが人気の増田さんのTwitter
増田さんが天気に興味を持ったきっかけは「学生時代、野球部の練習がつらかったんですよ。練習が中止になってほしい日は、空を見て雨を願っていたら、なんとなく傾向がつかめるようになったんです(笑)」とのこと。
肩肘を張らずに天気や自然現象を楽しむ気持ちも、防災にとって重要なのかもしれない。
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〈プロフィール〉
増田雅昭(ますだ・まさあき)
気象予報士、株式会社ウェザーマップ所属。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたことも。現在も「天気が好きすぎる気象予報士」としてTBSテレビ『THE TIME,』や『まるっと!サタデー』にて活躍中。
株式会社ウェザーマップ コーポレートサイト(外部リンク)