独身の人の平均貯金額はおよそ100万円! 今すぐできる貯金方法を解説します

昨今では生涯独身を貫くライフスタイルを選択する人も増えていますが、中には良い出会いに恵まれて、いま思い描いているライフステージや将来設計が変わることもあります。

いずれにしても、将来のライフイベントに備えて、いまのうちから貯金をしていて損をすることはありません。

とはいえ、独身で暮らしていると自分ひとりで自由にお金が使えてしまうことに加えて、人とお金の話をするのはなんとなく憚られてしまいますよね。

独身の人の平均貯金額をさまざまな角度から分析し、効率良く貯金するためのポイントや方法をご紹介します。

独身者の平均貯金額は1,062万円、中央値は100万円! 夫婦世帯との比較

はじめに、金融広報中央委員会が公開するデータを参照しながら、二人以上世帯と比較しての独身の人の平均貯金額をご紹介します。

データを参照する際には「平均値」と「中央値」の2つがあることを知っておきましょう。

平均値と中央値の違い

平均値:対象の数値を均等に分けた場合の数値(例:3+30+300=333÷3=平均値111)

中央値:対象の数値を順番に並べたときの中央に値する数値(例:3+30+300=中央値30)

「平均値」は数が均等に分けられていると思われがちですが、一部の数値が突出している場合にその影響を受けて平均値も大きくなってしまいます。

一方の「中央値」は、数を順番に並べたときにちょうど中央に値する数値をあらわすので、私たちが普段から使う「平均」により近しいイメージです。

年齢別の平均貯金額

年齢別の平均貯金額についてご紹介します。

参照:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)(単身世帯調査)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると参照:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)(二人以上世帯調査)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

上記のデータを参照すると、一部で貯金額が多いために全国での平均値が1,062万円と大きくなっていますが、中央値については100万円となっています。

年齢によって金額が異なりますので、ご自身の貯金額の目安を考える際の参考にして下さい。

年齢別の貯金額(単身世帯)

参照:種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

年齢別の独身者の平均貯金額は、20歳代が約179万円となっており、年齢を重ねるにつれて貯金額も増加する傾向にあります。

どの年代を見ても、金融資産保有額の中で最も大きな割合となっているのは「預貯金」で、次いで「株式」や「投資信託」となっています。

また、一人で暮らしている人が多いことから「生命保険」や「損害保険」の項目は、後述の二人以上世帯よりも金額が低めになっていることが特徴です。

年齢別の貯金額(二人以上世帯)

参照:種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

二人以上世帯の平均貯金額は、最も少ないのが20歳代の212万円、最も多いのが60歳代の2,427万円です。

独身の人と比較して、平均貯金額はおよそ1.2〜1.3倍ほどの差があります。

「株式」や「投資信託」にかける金額は、独身世帯と二人以上世帯でそこまで大きな違いはありませんが、一方で「生命保険」や「損害保険」の金額には大きな開きがあることが特徴です。

男女別の平均貯金額

参照:図Ⅱ-7 男女、年齢階級別金融資産残高及び金融負債残高(単身世帯)|2019年全国家計構造調査関連情報|総務省統計局

総務省統計局が公表する男女別の平均貯金額を参照すると、30歳未満の世帯を除いて、すべての年代で女性よりも男性のほうが平均貯金額は多くなっています。

筆者の推測とはなりますが、30歳未満の女性は将来的に結婚や出産することを考慮して、事前に貯金をする人が多いものと考えられます。

一方、男性は勤続年数が長くなるにつれて役職も上がっていき、結果として収入面も増えていくケースが多いので、それに伴い貯金額も増加する傾向にあります。

年収別の平均貯金額

年齢別の統計データに続いて、年収別の平均貯金額についても見ていきましょう。

参照:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)(単身世帯調査)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると参照:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)(二人以上世帯調査)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

上記のデータを見ると、年収300万円未満の独身世帯の平均値は722万円、中央値は62万円です。

一方で、年収が500万円を超えると、二人以上世帯より独身世帯のほうが平均値と中央値の値が高くなっています。

その理由は、二人以上世帯の場合は結婚や出産といったライフイベントがあり、独身世帯よりも日常生活で必要なお金が多いためだと考えられます。

年収別・平均貯金額(単身世帯)

参照:種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

独身者の平均貯金額を年収別にみてみると、300万円未満の世帯は約722万円で、年齢が上がるにつれて金額も大きくなっています。

いずれの項目も「預貯金」が最も大きな割合を占めていますが、年収が300万円を超えると「株式」の金額が大きく数値を伸ばしています。

また、年収が500万円を超えると「投資信託」や「財形貯蓄」で貯金をする世帯が増加する傾向にあります。

年収別・平均貯金額(二人以上世帯)

参照:種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

二人以上世帯の平均貯金額を年収別にみると、独身世帯よりも各項目の数字が小さいことがわかります。

特に、独身世帯で年収が300万円を超えると「株式」の金額が一気に大きくなりますが、二人以上世帯ではそこまで大きな伸びは見られません。

これは先述と同じく、二人以上世帯の場合は結婚や出産といったライフイベントがあることから、独身世帯よりも日常生活で必要なお金が多く、貯金へ回す分の金額が少なくなっているものと考えられます。

年齢別の平均貯蓄率(収入から貯蓄へ回す金額)

最後に、年齢別の平均貯蓄率を見ていきましょう。

独身の人の場合と、二人以上世帯の場合とで比較すると、次のようになります。

参照:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)(単身世帯調査)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると参照:金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)(二人以上世帯調査)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

金融広報中央委員会のデータを参照すると、二人以上世帯よりも独身世帯の方が、収入から貯蓄へ回す割合は多いようです。

たとえば、年齢が20歳代で年収が300万円の場合は、60万円程度は貯金へ回している計算となります。

年齢を重ねるにつれて貯蓄率は減少傾向にありますが、それまでに貯金した分があることや、収入が増えた一方で貯金額はそこまで大きく変わっていないことが原因として考えられます。

年代別の平均貯蓄率(単身世帯)

参照:年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

単身世帯の平均貯蓄率として最も多いのは、収入のうちの10〜15%を貯金へ回す人たちです。

たとえば、収入が300万円であれば、そのうちの30〜45万円を貯蓄へ回しているという計算になります。

一方で、単身世帯の場合はおよそ4割の人が一切貯蓄をしていないこともわかっています。

ただし、50歳代を超えてからの割合が大きいことから、それまでの貯蓄分で今後の人生を過ごすには十分だと考える人が多いためだと思われます。

年代別の平均貯蓄率(二人以上世帯)

参照:年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)|各種分類別データ(令和3年)|知るぽると

二人以上世帯の平均貯蓄率を見ると、独身世帯と同様で、収入のうちの10〜15程度を貯金する世帯が多い傾向にあるようです。

また、独身世帯の場合は50歳代で約43%が貯蓄をしないと回答していますが、二人以上世帯の場合は60歳代になってようやく39%となっています。

全体で見ても、貯蓄を一切していない世帯はおよそ3割程度しかおらず、独身世帯と比較して貯金を考えている世帯が多いことがわかります。

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独身者が老後までに備えるべきライフイベントの費用

ここまで、独身世帯と二人以上世帯の平均貯金額などのデータをご覧いただきました。

独身者の貯金額(中央値)はおよそ100万円であることがわかりましたが、長い人生を過ごす中ではさまざまなライフイベントが発生します。

その際にはある程度の費用が必要なので、独身者が老後までに備えるべきライフイベントの費用についても知っておきましょう。

ライフイベントとそれにかかる費用の一例

結婚費用(もし結婚する場合):約469万円
結納・婚約〜結婚式や披露宴、新婚旅行までにかかった費用の総額

出産費用(もし結婚する場合):約52万円
入院料、室料差額、分娩料、検査、薬剤料、処置費用の総額

教育資金(子どもを持つ場合):約1,002万円
幼稚園から高校まで公立校、大学のみ私立校の場合

住宅購入費用:約3,494万円
建売住宅の場合。マンションは約4,521万円

その他医療費用など

参照:主なライフイベントにかかる費用の目安|日本FP協会

上記に加えて、自分自身の老後の生活費や介護サービスの利用料なども必要です。

また、旅行などの娯楽費用も一切含まれていないので、人生を豊かにするためにはより多くのお金が必要になります。

病気やケガで働けなくなったことを想定すると、万一の場合に備えてある程度の貯金をしておく必要性は高いといえます。