夢のマイホームを購入すると決めたとき、住宅購入資金としていくら必要なのかを事前に調べておくことは非常に大切です。
住宅購入の際は、物件を取得する費用以外にもさまざまな費用がかさむので、想定する以上の出費となってしまうことも珍しくありません。
また、意外と知られていない補助金や助成制度も数多く存在するので、住宅購入費用を節約するためには事前調査が必要不可欠です。
これから住宅購入する人にとって役立つ、住宅購入資金の目安と補助金や助成制度をご紹介していきます。
また、住宅購入時の保険の考え方についても、以下の記事にわかりやすくまとめていますので、ぜひ合わせて参考にしてください。
団体信用生命保険(団信)とは?住宅購入時に見直すべき生命保険や注意点を解説
住宅購入資金として必要な費用
住宅購入資金として必要な費用は、大まかに次の3通りに分けることができます。
住宅購入資金として必要な費用
物件取得費用
住宅ローン費用
その他諸費用
それぞれで必要な費用の項目が細かく分けられているので、わかりやすく解説します。
物件取得費用
住宅購入費用として最も大きな割合を占めるのが「物件取得費用」です。
簡単にいえば、土地や物件を取得する際に発生する税金や手数料などのことを指します。
物件取得費用
印紙税
不動産取得税
登録免許税
司法書士報酬
固定資産税(都市計画税)清算金
仲介手数料
印紙税
不動産売買契約書や不動産売渡証書には、印紙を貼って税金を納めるための「印紙税」が必要です。
印紙税は契約書に記載の金額によって、次のとおりに変動します。
印紙税一覧
契約金額の記載がないもの:200円
1万円未満:非課税
10万円以下:200円
10〜50万円:400円
50〜100万円:1,000円
100〜500万円:2,000円
500〜1,000万円:10,000円
1,000〜5,000万円:20,000円
5,000万〜1億円:60,000円
1億〜5億円:10万円
5億〜10億円:20万円
10億〜50億円:40万円
50億以上:60万円
参照:印紙税学の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
住宅購入の金額は数千万円以上となるケースが多いので、印紙税として20,000〜60,000円程度が必要になる計算です。
不動産取得税
「不動産取得税」は、土地や物件の購入などで不動産を取得した人に対して課税される地方税のことです。
取得した不動産が無償・有償、登記の有無にかかわらず必ず課税対象となり、税額は固定資産税評価額に対して標準税率を乗じた金額となります。
不動産取得税の税率は原則として4%となっていますが、令和6年(2024年)3月31日までに取得した宅地については「評価額 × 1/2 × 3%」住宅については「評価額 × 3%」の軽減措置が取られています。
また、購入する住宅が以下の要件を満たしている場合、1,200万円の控除が受けられる軽減措置も適用可能です。
軽減措置を受けるための要件
床面積が50㎡以上240㎡以下
個人が自己の居住用に取得した住宅であること
新耐震基準に適合していることが証明されたもの
軽減措置が適用されれば税額がゼロ円になることもありますが、詳細については不動産会社やその地域を管轄する地方税事務所までお問い合わせください。
登録免許税
「登録免許税」は、取得した不動産の所有権を法務局に登記する際に支払う税金のことです。
不動産の登記を行う際の税額は次のとおりです。
土地の所有権の登記における税額表
売買:不動産の価額×2%(令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合は1.5%)
相続、法人の合併または共有物の分割:不動産の価額×0.4%
その他(贈与・交換・収用・競売など):不動産の価額×2%
建物の登記における税額表
所有権の保存:不動産の価額×0.4%
売買または競売による所有権の移転:不動産の価額×2%
相続または法人の合併による所有権の移転:不動産の価額×0.4%
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等):不動産の価額×2%
なお、新築物件などで固定資産税評価額が付けられないような場合には、法務局によって認定された標準価額に税率を乗じた金額を納めることになります。
司法書士報酬
「司法書士報酬」は、登記の手続き等を司法書士に依頼した場合の依頼料のことです。
通常の登記手続きは司法書士に代行してもらうのが一般的で、登記の種類によって異なるものの、大まかな目安として5万円前後が相場となります。
なお、上述の登録免許税は司法書士を通じて納めるのが通例となっているので覚えておきましょう。
固定資産税(都市計画税)清算金
「固定資産税」や「都市計画税」は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して発生する税金です。
土地・家屋・償却資産のいずれも、課税標準額に対して1.4%の税率を乗じた金額を地方税として納めることになります。
1年の間に所有者が変わる場合は、日割り計算した金額(清算金)を不動産の買い主から売り主に対して支払うのが一般的です。
仲介手数料
住宅を購入する際に不動産会社を通した場合は「仲介手数料」も必要です。
仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限額が定められています。
仲介手数料上限額
200万円以下の部分:5%
200〜400万円:4%
400万円以上:3%
参照:宅地建物取引業者が宅地または建物の売買等に関して受けることができる報酬の額|国土交通省
なお、仲介手数料は成功報酬のため、取引が未成立の場合や契約前の請求は違法となります。
仮に仲介手数料を違法な形で請求されても拒否することができるので覚えておきましょう。
住宅ローン費用
住宅購入費用は、長い人生の中でもトップレベルに高額なことから、住宅ローンを利用するのが一般的となっています。
住宅ローンを利用する際には以下の費用が発生するので、事前に確認しておきましょう。
住宅ローン費用
印紙税
登録免許税
ローン事務手数料
ローン保証料
印紙税
住宅ローンで借り入れを行う際には「金銭消費賃借契約書」を取り交わすことになります。
不動産売買契約書などと同様で、本契約書にも「印紙税」がかかるので覚えておきましょう。
登録免許税
住宅ローンの手続きを行う際には、抵当権を登記するために「登録免許税」がかかります。
抵当権とは、金融機関が土地や建物に対してかける担保のことです。
たとえば、住宅ローンが支払えなくなった場合に不動産の差し押さえが発生するのは抵当権が関係しています。
ローン事務手数料
住宅ローンを利用する際には、金融機関が定める「事務手数料」が発生します。
事務手数料には大きく分けて2通りが存在し、定率を乗じた「定率型」と金額が固定された「定額型」があります。
これらは住宅ローンの借り入れを行う際の金融機関によって異なります。
ローン保証料
「ローン保証料」は、住宅ローンの返済が滞った場合に保証会社が変わりに支払いを行うための費用です。
一般的には、物件価格の2%相当がローン保証料の相場となっています。
その他諸費用
住宅を購入する際には、上記以外の諸費用も発生します。
その他諸費用
頭金
火災保険料
修繕積立基金
頭金
住宅ローンを利用する際には「頭金」が必要となるケースが一般的です。
頭金を増やすほど、以降の返済における利息が減りますが、その分だけ初期費用が高額化してしまいます。
頭金の目安は物件価格の2〜3割程度とされていますが、自身の収入や生活人のバランスを考慮しながら決めるようにしてください。
火災保険料
住宅ローンの借り入れの際、ほとんどの金融機関で「火災保険」への加入が求められます。
購入予定の物件価額や保証内容によって変わってきますが、火災保険料の一般的な相場は30万円前後となります。
修繕積立基金
「修繕積立基金」は、新築のマンションを購入する際に支払いが発生します。
将来的に大規模な修繕を行う際に必要となる費用のことで、大まかな目安として20〜40万円程度が相場です。
購入物件の専有面積によって金額が高額化する場合もあるので注意が必要です。
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住宅購入後に発生する資金一覧
住宅資金は、不動産を購入後にもランニングコストとして発生し続けます。
主に発生する住宅費用は次のとおりです。
住宅購入後に発生する資金一覧
固定資産税・都市計画税
管理費
修繕費用
火災保険料
水道光熱費
これらの費用は不動産を持ち続ける限り半永久的に発生する費用です。
住宅資金としては購入時だけではなく、購入後のことも事前に考えておきましょう。
固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点で不動産を所有する人に対して「固定資産税」や「都市計画税」が発生します。
土地・家屋・償却資産のいずれに対しても、課税標準額に1.4%の税率を乗じた金額の支払いが必要です。
管理費
分譲マンションを購入した場合は、共用部分の「管理費」が必要です。
共用部分とは、マンションのエントランスや廊下、階段、エレベーター設備、エレベーターホールなど、専有部分以外の箇所すべてを指します。
また、バルコニーやベランダ、各戸のメーターボックスやパイプスペース、物件の管理人室などもこれにあたります。
修繕費用
不動産を購入すると、時間の経過とともに老朽化が進んでいくため、「修繕費用」もかかってきます。
たとえば、マンションを購入した場合は将来を見据えた大規模修繕のため、修繕積立金を毎月支払うことになります。
戸建ての場合も外壁や屋根の修繕などが必要になるので、自分で修繕費用を積み立てながら貯金しておくことが必要です。
火災保険料
不動産を購入した後は、毎月「火災保険料」や「地震保険料」の支払いが発生します。
火災保険は、「建物」と「家財」の2通りを補償対象とした損害保険のことで、火災や落雷、台風などの自然災害で受けた被害に対して保険金が支払われます。
それ以外にも、外部からの飛来物による損害や、盗難事件にともなう建物の破損や家財の盗難も補償対象に含まれます。
一方の地震保険は、自身による被害に特化した損害保険で、火災保険と必ずセットでなければ加入することができません。
上記以外にも、フラット35の団体信用生命保険に加入している場合は団信保険料が毎年必要になります。
火災保険とは?補償内容やおすすめの選び方、タイプ別の必要性をわかりやすく解説
火災保険料の相場はいくら?一戸建てとマンション、賃貸それぞれの保険料相場を解説
水道光熱費
居住用の不動産を購入した場合、賃貸住宅に暮らしていた頃に比べて水道光熱費が上がるといわれています。
その理由は、賃貸よりも部屋数が増えたり、電気のアンペア数が上がったりするためです。