冷えによって血管が収縮すると、体は血流を維持するために血管内皮細胞から、発痛物質でもあるプロスタグランジンなどの生理活性物質を分泌します。ショウガは、血管を拡張して血流をよくする働きがあり、発痛物質の分泌を減らすことができます。治療の補助としてぜひお試しください。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)

解説者のプロフィール

石原新菜(いしはら・にいな)

イシハラクリニック副院長、医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での勤務を経て、現在、自然医学の泰斗で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。雑誌をはじめ、テレビやラジオなどのメディアへの出演が多数。『女のキレイは30分で作れる』(マキノ出版)、『酢ショウガで体すっきり!ずっと健康 』(宝島社)など、ショウガや健康に関する著書、監修書多数。テレビやラジオなどのメディアへの登場も多い。
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[別記事:病気の原因から手術の相談まで脊柱管狭窄症がよくわかるQ&A→

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ショウガも酢も体を温める効果がある

脊柱管狭窄症とは、背骨の中にある脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで足や腰などに痛みやしびれが生じる病気です。

「酢ショウガ」は、この脊柱管狭窄症の方にお勧めです。酢ショウガの材料であるショウガの鎮痛効果に関しては、海外でいくつかの報告があります。

例えばデンマークのオデンセ大学では、リウマチと変形性関節症の患者さんにショウガを数ヵ月間とってもらい、8割以上が痛みの軽減を実感しました。

イランの大学で生理痛に悩む女性を対象に行われた研究では、ショウガエキスは消炎鎮痛薬のイブプロフェンと同等の鎮痛効果が確認できたそうです。

ショウガの鎮痛効果は、ショウガの辛味成分であるショウガオールの血流改善と体温を上げる効果によるものでしょう。

冷えによって血管が収縮すると、体は血流を維持するために血管内皮細胞からプロスタグランジンなどの生理活性物質を分泌します。プロスタグランジンは痛みを引き起こす発痛物質でもあり、多く分泌されると痛みを感じます。

ショウガオールは、血管を拡張して血流をよくする働きがあり、プロスタグランジンなどの発痛物質の分泌を減らすことができます。

また、体脂肪や糖の燃焼を促すことで、体温を上げる効果もあります。

体を温める効果は酢にも期待できます。食事でとった糖や脂肪は、体内ではさまざまな過程を経てアセチルCoAという酸に分解され、クエン酸に変化します。その後、さらに変化を続けますが、最終的にクエン酸に再合成されます。

このクエン酸の変化の過程は「クエン酸回路」と呼ばれ、細胞の活動に必要なエネルギーが作られます。

クエン酸回路は、新たなクエン酸の補給で活性化し、体温も上がりやすくなるといわれています。酢の酸味は酢酸やクエン酸によるものです。酢酸もクエン酸と同様、体内ではクエン酸回路の活性化に役立つと考えられています。