積極的に摂取すれば疲れ知らずの元気な体に

●骨粗鬆症の予防効果

梅干しは、骨粗鬆症の予防にも効果的です。

骨を作る細胞に梅の成分を加えたところ、細胞の増殖が20%も促されました。骨を作るために必要な遺伝子の発現や、骨の基礎となる細胞の増殖も確認されています。

私たちが共同で行った疫学研究では、61~81歳の男性のうち、梅を食べる習慣のない人は骨密度の平均が68.3%なのに対し、梅を週に1~2個食べる人は83.2%(基準値は70%以上)となっていました。

つまり、長期にわたり梅を常食すると、高齢になっても骨密度が低下しにくいのです。

梅は腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすこともわかっています。腸内環境が整い、腸の動きがよくなれば、便秘解消にもつながります。

●抗アレルギー作用

腸といえば免疫細胞が集まる器官ですが、梅干しには免疫調整作用もあります。

私たちは数年前から、梅干しの花粉症に対する効果について研究してきました。免疫細胞からヒスタミンという物質が分泌されることで、目のかゆみなどが生じます。研究の結果、このヒスタミンの分泌を抑制する作用が、梅干しにあるとわかりました。

つまり、梅干しは抗アレルギーにも優れているというわけです。

●疲労回復効果

最後に、触れるまでもないほどよく知られているのが、梅干しの疲労回復効果です。梅の酸味は主に、豊富に含まれるクエン酸によるもの。体の代謝を高めて、エネルギー産生を促し、疲れを取り除く効果があります。

加えて、梅のポリフェノールによる抗酸化作用が、疲れのもととなる活性酸素の除去に働きます。梅を積極的にとることで、疲れ知らずの元気な体に近づきます。

旬の時季の梅を冷凍しておけば、梅酒や梅シロップなどの梅仕事が、年中楽しめます。一年を通して、梅を健康に役立ててください。

冷凍すれば梅仕事が年中楽しめる!

この記事は『壮快』2022年7月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b605811.html