いつまでも自分の足で歩くための体づくりに!

こうして、つま先立ち、そしてつま先歩きを行うことで各所の筋肉群が強化され、正しい姿勢でしっかりと立つことができるようになります。

そのことが、腰痛やひざ痛といった、年齢とともに増えるさまざまな体の痛みの予防や、転倒の予防にもなり、いつまでも自分の足で歩くための体づくりにつながると考えられます。

ちなみに、体を動かすために使われる骨、関節、筋肉などの部位をまとめて、医学用語で「運動器」といいます。

この運動器に障害が起こり、運動機能が低下した状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と呼びます。ロコモが進行すると、これまでお話ししてきたとおり、介護が必要となるリスクが飛躍的に高まることがわかっています。

厚生労働省も、ロコモ予防の資料で、運動器をしっかり鍛えることを推奨しています。

それを受けて、日本整形外科学会もロコモ予防の運動(ロコトレ)を提案していますが、そのために勧めている運動として、まず片足立ちとスクワットが挙げられます。そして次に推奨される運動として、かかとの上げ下げが示されているのです。

かかとの上げ下げは、ふくらはぎの強化という意味で、まさにつま先立ち、つま先歩きと類似する運動です。

この点からも、つま先歩きはロコモ予防に勧められるといえるでしょう。

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どこかにつかまったり手を添えたりして行う

つま先歩きのやり方は、下項をご覧ください。

初めは、正しい姿勢を取ったあと、かかとをゆっくり上げ下げする運動(下項のSTEP①、②)を1日10回ほど行います。

これが問題なくできるかたは、STEP③のつま先歩きに進みましょう。継続して行えば、筋力アップに役立ちます。

やり方は、このようにごく簡単ですが、注意点があります。

それは、つま先立ちも、つま先歩きも、高齢のかたは必ず「どこかにつかまったり、手を添えたりしながら」行ってほしいということです。

これらの動きは、しばしば「ながら運動」として勧められることがありますが、それは若く、足腰のしっかりしたかたに向けた話。足腰が弱っている高齢者にとっては、転倒リスクが高まるため、注意が必要です。

ふらつきやすいかたは、歯磨きをしながら、掃除機をかけながらなど、なにかをしながらつま先歩きを行うのは控えましょう。

特に掃除機など動く物を持っているときは危険です。つま先歩きは、自分の体力や筋力のレベルに合わせ、無理のない範囲で行ってください。

例えば86歳になる私の祖母は、加齢で足腰が弱ってきています。そこでイスに座ったままかかとを上げ下げする運動をしています。これでも十分筋力アップにつながります。

私自身は、最近子育てと仕事で忙しくしており、まとまった運動の時間が取れません。そのため、台所のシンクにもたれながらつま先立ちをしたり、電子レンジの加熱中に、数歩歩いたりして取り入れています。

つま先歩きは根気よく続けていくことで効果を発揮します。ぜひ、無理をすることなく、継続して行ってください。