クリエイティブ・ディレクター、マクシミリアン・デイヴィスによる新生「フェラガモ」がデビュー!【2023年春夏ミラノコレクション】

9月21日、公式Instagramでブランドロゴおよびブランド名の変更を発表したサルヴァトーレ フェラガモ改め「フェラガモ」。新クリエイティブ・ディレクターによるファーストコレクションが発表された。

2022年9月20~26日の期間、2023年春夏ミラノファッションウィークが開催された。9月にブランド名とロゴを刷新し、新クリエイティブ・ディレクターによる初のコレクションが発表されるとあって、大きな期待と注目が集まっていた「フェラガモ」。2021年、前任者のポール・アンドリューがクリエイティブ・ディレクターを退任後、1年近くデザイナー不在の状態が続いていたが、2022年3月、マクシミリアン・デイヴィスが当時26歳という若さで後任に抜擢。London College of Fashionを卒業後、2020年に自身のファーストネームを冠した「Maximilian」というブランドを創設している新進気鋭のクリエイターだ。ブランドの新しいアイコンカラーであるレッドをショー会場であるSeminario Arcivescovile di Milanoの床に敷き詰めた砂の色に採用した演出で、ブランドの新章をはっきりと印象付けた。

ハリウッドの歴史や文化が着想源

マクシミリアン・デイヴィスは「砂は、フェラガモ、ハリウッド、海、そして私自身のDNAにも関係しています」とコメント。コレクションのテーマは、「フェラガモ」のハリウッドにおける歴史を再構築すること。1959年にフェラガモがマリリン・モンローのために作った、きらめく赤い靴からインスパイアされたこのコレクションは、ハリウッドの華やかさを象徴している。「ハリウッドの文化を取り入れることで、サルヴァトーレの原点に敬意を表したかったのです。しかしそれは、エフォートレスとセンシュアリティー、サンセットとサンライズといった対極的なものや新旧が入り混じる新しいハリウッドです」。

ミニマルでモダンなデザインと、着心地のよさが伝わってくるリラックスしたシルエット、そしてフィレンツェ特有の優雅なドレープを融合させたメゾンの原点へのオマージュといえるルックが並ぶ。

ハリウッドのビーチフロントの魅力ともいえる気だるいムードを演出するために、光沢のあるレザーやセカンドスキン フィット、マイクロショーツでフェティシズムの要素を加えることで、まったく新しいバランスを描き出す。タンクトップ、ポロネック、レギンスなど、デイリーユースのアイテムをミックスしたスタイルも新鮮。その徹底したシンプルさが、洗練されたエレガンスを醸し出している。

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アーカイブを再解釈し、リアルなスタイルへ

「アーカイブをじっくりと見直し、何が今の時代にフィットするかをより深く考え構築していきました」と説明するマクシミリアン・デイヴィス。リサイズされたり、新たに描き下ろされたアーカイブプリントや、1988年に発表され、新たな解釈が加えられたサルヴァトーレの妻の名を冠する「ワンダ」バッグ、ガンチーニヒールの新デザインが、コレクション全体にアクセントを添え、存在感を示している。

「フェラガモ」らしい幻想的なエレガンスは、シアーなニット、なめらかなシルク、オーガンジーのレイヤーを通して取り入れられ、ルネッサンス期頃を思い起こさせるスエードのサンダルのように洗練されたアクセサリーと合わせることで、リアルなスタイルとして提案。イブニングウェアもあえて気取りすぎない上品な印象を与えている。

「フェラガモ」のクラシックへオマージュを捧げながら、現代に求められる軽やかかつフレッシュでリアルなレディ・トゥ・ウェアがバランスよく提案されたファーストコレクション。伝統的なスタイルと歴史に裏付けられた高い技術、上質な素材さえあれば、無駄なものはいらない。そんな強く潔い美意識が伝わるような「フェラガモ」の新しいステージにますます期待が高まるばかりだ。