犬は、人間同様に年を取ると病気にかかるリスクが高くなります。
病気になれば人間同様に治療が必要ですが、犬の場合は人間とは違い公的な健康保険制度があらず、全額自己負担となります。
そのため、犬の治療費は決して安い金額ではなく、入院や手術が必要なケースもあり、結構な費用負担になります。
治療費は保険ではなく貯蓄で補うという考え方もありますが、突然の大きな出費は貯蓄を大きく切り崩すことに繋がり、生活に支障を与えることもあります。
毎月の収入や支出はあまり変わらない中で、犬の治療費のような突然の大きな出費はいつ起こるか分からないため、ペット保険で備えておくと安心と言われています。
保険は、リスクを平準化するものとしてとても大切な役割があるため、これだけ多くの人に利用されているのです。
ペットを飼う以上はペット保険について検討をした方が良いでしょう。
犬に保険が必要とされる3つの理由
ペット保険が必要な一番の理由は、治療費を気にせず、犬にとってベストな治療方法を選択できることにあります。
ペット保険があれば、治療費の3割などの負担で支払いが済むため、高額な治療方法を選択することができ、医療費を支払うことができず治療を諦めてしまうことがなくなるでしょう。
しっかりとペット保険の必要性を理解して、備えておきましょう。
また、ペット保険が必要な第二の理由は、自分のペットが他人に損害を与えてしまった場合の賠償責任リスクを補償できることです。
この後に事例も挙げますが、自分のペットが他人を怪我させてしまった際には、高額な賠償請求を受けるリスクがあります。
そうした際に、保険に加入していれば、全て保険で補償してもらうことができます。
1.散歩などの外出に伴うリスク
ペットを連れた外出の際は、ペット自身はもちろん、他人に何らかの損害を与えてしまう可能性があります。
以下にて、ケース別にご説明します。
リードによる事故
ペットを散歩に連れて行った際、起こる可能性が高いと考えられるのが、リードによる事故です。
ここから、事例を2つご紹介いたします。
事例① ノーリード(引き綱が付いてない)の犬に唸られて転倒骨折した事例
友人の犬を連れて公園を散歩していた女性に、引き綱に繋がれていない他の犬が近づき唸った。女性は恐怖を感じて離れようとしたがバランスを崩して転倒し、大腿骨を骨折した。
→裁判による損害賠償額:約 870 万円(大阪地裁2002 年)
※事例は埼玉県動物指導センターの資料を参照
事例② 伸縮リード付きの犬が飛び出して吠えたために転倒骨折した事例
散歩に行こうとした伸縮リード付きのミニチュアダックスフントが玄関先から飛び出して吠えたため、道路を歩行中の高齢者が驚いて転倒した。高齢者は足を骨折して入院し、4ヵ月後に肺炎により亡くなった。
→裁判による損害賠償額:約 660 万円(大阪地裁2003 年)
※事例は埼玉県動物指導センターの資料を参照
この事例は、実際に起きたもので、高額な賠償金の支払いを裁判で認められています。
仮に保険に入っていなければ、全額自己負担になってしまう事故です。
このような事故はどんなに気を付けていても、起きる可能性を0にすることが難しいものです。
保険で備えることも大切でしょう。
また、ノーリードや伸縮リードは、大きな事故を引き起こす危険があります。
犬を飼っている人は、そもそもノーリードの放し飼いは絶対にやめましょう。
そして、伸縮リードの人は充分に気を付けて利用しましょう。
他の犬とのトラブル
最近ではドッグランでのトラブルも増えています。
ドッグランは、基本ノーリードで犬が走り回ることができるため、興奮して他人の犬に噛みついたり、噛みつかれたりといった場合などの事故が起きています。
勿論、リードがある状態の散歩中でも他の犬とのトラブルは起きています。
こうしたトラブルが起きる原因の1つに、犬が多動症であるケースがあります。
人間にもある病気ですが、いわゆる発達障害と言われる病気です。
犬にも多動症の病気があることを知らない人も多いです。
参考に多動症と言われる問題行動の例を記載しましたのでご参照ください。
休みなく動き回る
甘噛みでなく力いっぱい噛みつく
自分の周りに常に警戒心を持っている
遠くに行ってもすぐ同じ場所に戻って来たりまた行ったりを繰り返す
トイレが我慢できず尿意があれば、どこでもその場でやってしまう
暴れて物を壊してしまう
新しいことに慣れるまでに時間が長く必要
衝動的な行動を見せる
多動症かどうかの判断としては、とても簡単なことでも犬に繰り返ししつけをしても一向に覚えてくれない場合です。この場合には、多動症を疑いましょう。
自分の犬が、多動症の可能性があったら、まずは専門医に相談しましょう。
道に落ちている物の誤飲
散歩中などに、犬が地面に落ちているものなどを誤飲してしまう事故があります。
誤飲したものによっては、震えや痙攣、嘔吐、呼吸困難などの症状が出る場合もありますので、注意しましょう。
大事なことは普段から拾い食いをしないようにしつけをすることです。
自宅においても誤飲は起きる可能性がありますので、普段からしつけをしておきましょう。
また、誤飲の事故は、特に幼児期に多いと言われています。好奇心旺盛な時期で何でも口に入れてしまうのです。
人間の赤ちゃんも何でも舐めまわしてしまうのと一緒のことでしょう。
仮に誤飲をしてしまった際には、必ずすぐに動物病院に連れていきましょう。食べてしまったものによっては、命に影響を与えることもあるからです。
最近は、24時間の動物病院もあります。
事前に病院の場所を把握しておき、何かあった時にスムーズに対応できるように準備しておきましょう。
2.犬の長寿化
近年では、飼育環境や食事の品質の向上により、犬の長寿化が進んでいます。
昔は、犬は外で飼うことが当たり前でした。犬小屋の中に入れて飼っていた人もいることでしょう。
ところが、今は室内での飼育が基本となり、暑さや寒さの影響を受けることが無くなったり、寄生虫やウイルスなどに感染するリスクも下がりました。
また、食事については、昔は限られたペットフードと人間の食事を与えていましたが、最近では犬の年齢や健康状態に合わせたドッグフードが100種類以上も発売されており、犬の栄養のことをしっかりと考えられています。
これらの理由で、犬が長生きできるようになったのです。
一方で、犬の長寿化により、人間同様に生活習慣病や脳梗塞といった病気になるケースが増えています。
そうした病気に対処するため、CTやMRIのような高度な医療機器を使う大学病院や動物病院もできるようになりました。
近年は予防医療や健康診断も進化しており、病気の初期段階で確認が取れるようになってきています。
こうした動物医療の進化とともに、動物病院の数も年々増加しています。今や24時間対応の動物病院があるぐらいです。
犬を飼う上では動物病院は必ず必要な施設であり、安心して犬を飼うことができる環境が整ってきているといえるでしょう。
こうした動物医療の進歩は近年目まぐるしく進んでおり、だからこそ、大切なペットが十分な医療を受けられるように、費用を備えておきたいところです。
3.犬の病気の治療や手術は高額になることが多い
犬の医療は高度化しており、それに伴い治療費用も増加傾向になっています。
がんなどの治療の難しい病気では、人間同様に放射線や抗がん剤治療も行っている病院もあります。
治療の高度化により、病気が治りやすくなった一方で、医療費は上がってきているのです。
一例ですが、小型犬に多い膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼で手術して入院すると、20万円近くかかるケースもあるといわれています。
犬の治療費には人間のような健康保険制度が無いので、全額自己負担になる訳ですから、負担が大きいのは当然でしょう。
犬を飼う前に、一生涯の犬の治療費用について、事前に把握をしておきましょう。
また、ペット保険に加入すれば、一定の治療費負担で済むため、安心して治療費を払うことが出来るでしょう。
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犬に多くみられる疾患
犬の疾患は、以下のような割合で発生しています。
また、犬種によってかかりやすい疾患が異なります。