「今がいちばんおいしい」日替わりの天然素材フレーバーにこだわるわけ

AmiConoのジェラートは、作り置きは一切なし。朝の仕込みや営業中などに、常にフレッシュなものを作り続けています。フレーバーは旬の食材を使った日替わりのもので、これもイタリア修業時代に知った、現地の文化にならっています。

「イタリアで印象的だったのが、『今の季節しか食べられない』とか『この地方でしか食べられない』といったような食の文化。例えば、季節外れのフルーツはスーパーに並ばないし、魚介が採れない内陸の都市ではペスカトーレ(魚介のトマトパスタ)は食べられない。注文しようとすると、『海沿いのレストランに行きな!』って言われます(笑)この文化を習って、この店でも、その時々で仕入れた旬のものだけをジェラートにしています」

そして、AmiConoのもう一つの人気の理由が、天然素材のみを使っていることと、ヴィーガン対応のジェラートも用意していること。これらは、イタリアから帰国後、務めていた会社で感じた想いを形にしています。

「イタリアの修行から帰ってきた後、独立開業の勉強のために2年半ほどマクロビの会社で働きました。その時に衝撃的だったのが、世界にはこんなに食が制限されている人がいたんだということ。

自分の周囲には少なかったのであまり考えたことがなかったのですが、アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがある方ってたくさんいるんです。自分の店ではどんな方でもジェラートが楽しめるようにしたいと思いました」

「大切な人に自信をもって渡せる」ジェラートがつくりたかった、と話す井上さん。お客さんが誰かに贈ってくれた、と聞くとすごく嬉しいのだそう。

「昔お客さんが、余命僅かな病気の方にうちのジェラートをプレゼントしてくれたんです。栄養価が高くておいしい『AmiCono』のジェラートなら食べられるだろうと。その方にとって最後の食事になったそうで、喜んで食べてくれたそうです。それを聞いて、食をつくるってとても重みのある仕事なんだな…と思ったし、このジェラートをつくってよかったな、と心から思えました」

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食材は農家さんから直接仕入れ。お客さんと生産者をつなぐことも喜びに

香料などの添加物を入れない代わりに、最も大事になってくるのが食材選び。なるべく農家さんと直接やりとりをして、時間があれば畑にも見学に行って仕入れをしているそう。

「お店のジェラートを通して、農家さんとお客さんがつながることが一番うれしいですね。例えば、桃ジェラートがおいしかったらと、お客さんが直接農家さんから桃を買ってくれたりとか」

定番は訓子府の牛乳を使用した「ミルク」のみで、この日の日替わりメニューはこちら。食材のブランド名や産地を明記し、生産者の顔が見えるようにしています。

この日に頂いたのは、アーモンドプラリネ(※取材当日の日替わりフレーバー)のジェラートを挟んだ「ジェラバーガー」。ほんわりあったかいパンと冷たいジェラートのギャップがたまらないメニューです。中のジェラートは、アーモンドの香ばしさが口の中にふわっと広がり、あと引くおいしさ。アーモンドってこんなにおいしかったんだ!と気づかされます。

「コーンだけでなく、このパンも自家製です。天然素材で作る、と決めたからには全部手作りにしています。昔、ハンバーガー屋さんになりたい時期もあったので丁度良かったかも(笑)」。