ここ数年、コロナ禍で引きこもりがちになった高齢者が、周囲と関わる機会も減る中で体力も衰えてしまい、要介護度が上がるケースが増えています。実際、遠方に住む私の祖父母も外出の機会が減ってしまい、以前よりも歩く力が衰えたと母から聞いたばかりです。

避けては通れない介護とお金の問題。今回の記事では、介護に関して知っておきたい知識とお金のリスクを減らすためのコツをまとめてみました。

介護保険の仕組み

介護保険制度は、高齢者を社会全体でサポートすることを目的として2000年に創設された仕組みです。介護保険は主に私たちが支払う保険料と公費によって成り立っています。

具体的には、私たちが40歳になると介護保険への加入が義務づけられ、保険料を支払うことになります。64歳になるまで介護保険料を納めることで、「65歳以上で介護が必要になった」「特定疾病に該当した」といった場合に1~3割の自己負担のみで介護サービスを受けられます。

つまり、働き盛りのうちに保険料を納めておくことで将来の介護費用負担を減らしていると言えるでしょう。

また、介護サービスと聞くと高齢者を想像するかもしれませんが、40~64歳の間であっても特定疾病(末期がんや脳血管疾患など)だと認められた場合には介護サービスを受けられます。

(広告の後にも続きます)

介護費用はどのぐらいかかる?

気になる介護費用ですが、公益財団法人生命保険文化センターが2021年に実施した「生命保険に関する全国実態調査」によると、過去3年間に介護を経験した人が過ごした介護期間の割合は以下の通りです。

生命保険に関する全国実態調査を参考に筆者作成

これらを平均すると約5年1カ月(61.1カ月)を要したことになり、それ相応の期間がかかることが分かります。また、介護の期間が長くなれば、それだけ費用もかさみます。

同調査によると、介護に要した費用(公的介護サービスの自己費用負担を含む)のうち、一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)の合計額の割合は以下の通りです。平均74万円でした。

生命保険に関する全国実態調査を参考に筆者作成

つづいて、月額の介護費用はどのくらいかかるのでしょう?金額別の割合は以下の通りです。1カ月あたりの平均は8.3万円です。また介護を行った場所別でみると、在宅での介護が平均4.8万円、施設での介護が平均12.2万円となっています。

生命保険に関する全国実態調査を参考に筆者作成

これらの調査結果を踏まえて試算すると、介護を始めてから終了するまでの費用の目安は以下のようになります。

平均月額介護費用(在宅):4.8万円

平均月額介護費用(施設):12.2万円

平均介護期間:61.1カ月

平均一時費用:74万円

介護にかかるお金の合計額=4.8万円×61.1カ月+74万円=約367万3000円

1人当たり約367万円、両親2人分だと734万円もの費用が生じることになります。想像していたより高額だったと感じる方も多いかもしれません。