
地域の特色や歴史を背景に発酵文化を紹介する「観光連動型展覧会」の「発酵ツーリズム」が、2019年の渋谷、2022年の北陸に続き、今度は東京・多摩で開催中です。2022年12月4日までの会期中の「Fermentation Tourism Tokyo 発酵で旅する東京の森」をご紹介しましょう。会場はJR立川駅から徒歩で行ける複合施設「GREEN SPRINGS」の2階「TAKEOFF-SITE」です。
キュレーターはやっぱりこの人
今回のキュレーターを務めるのも発酵デザイナーの小倉ヒラク氏。ローカルな発酵といえども都心が近い今回の旅について伺うと、意外にも「今までよりもトリップ感が強かった」と教えてくれました。
「東京だから北陸とかよりは移動距離も近いし、駅前はニュータウンだったりするんだけど、少し行けば鎮守の森があったりする。実際に歩いて巡ることで、多摩エリアの自然の豊かさを体感することできました」
(広告の後にも続きます)
水に呼ばれた食のものづくり
ヒラクさんのホームグラウンドである山梨県の甲州と、この西東京をつなぐ国道411号線。ここは江戸時代、多くの人々が往来した街道で、このエリアから豊かに湧き出る清水は玉川上水を通して江戸へと流れていきました。多摩の森を通り、微生物やミネラルが豊富に含まれた水は、東京でさまざまな食の「仕込み水」として使われるようになります。
素材としては目に見えにくい存在ですが、食の仕上がりに大きく影響する大切な仕込み水。ヒラクさんは「東京の水を巡ると、森があって神社があって、いろんな東京の食のものづくりを巡ることができた」と語ります。