波子

先月25日、この連載を書籍化した『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』が発売されました。
もしかしたら、もうご購入くださった方や、読者プレゼントでお手元にお持ちの方もおいでかもしれませんね。ありがとうございます…!

連載では、Webサイトならではの「制限のない文字数と写真枚数」で、毎回思いの丈を述べ立てている私ですが、書籍となりますとそうは参りません。
同じ文具をご紹介するにも、あれこれ悩みながら文章を削りまくることになりました。写真も使える枚数に限りがあり、私では選べなかったのでデザイナーさんにお任せすることに。

文章量や、写真の数では、圧倒的に連載記事の方がボリュームがあります。
だからこそ、私たちは、書籍化ならではの特別感を出したいと考えました。出版社の編集さんと、リモートで何度も打ち合わせを重ねました。
そのひとつが、様々な「ちょっとした使いにくさ」で分類した章立てです。

書籍では、力の弱さを「握る力が弱い」「つまむ力が弱い」「ひっぱる力が弱い」「てのひらを開く力が弱い」「指先がコントロールしにくい」と分類。さらに「片手で使いたい」「弱い力でも使いやすいペンたち」と続きます。
各章で、それぞれの「使いにくさ」を解決したり、希望に添う文具をご紹介しているので、お読みになった方に「もしかしたらこの章は自分に合っているかも」と感じていただけたら嬉しいです。
また、最後の章では「侮れない 子ども向け文具たち」として、握力の弱い子ども向け文具の中から、大人の私が使って楽しいと感じたものをご紹介しています。

力が弱くなるにつれ、使うのを諦めてしまった文具もあります。
そんな私にとって、支えとなってくれたものをご紹介した章が、「諦めなくてもいい、うれしい文具たち」。
その中のひとつが、「ガラスペン」です。

万年筆が使いにくくなって、それまでに購入した瓶インクをどうしようか…と悩んでいたときに出会ったのが、ガラスペンでした。そのときの興奮は、今も思い出せます。

#12「筆圧いらずのガラスペン」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/008974/

ただ、ペン先がガラスゆえに、とても繊細。
万年筆のように持ち運ぶのには、かなり注意が必要です。

前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのは、その解決策のひとつとなる文具です。

Komamono Lab「Fonte」


Komamono Labの「Fonteガラスペン」。キャップはディープグリーン

Komamono Labの「Fonte」は、自分好みにペンの種類とキャップが選べるシリーズ。Fonte万年筆、Fonteローラーボールペンに加え、今年9月に発売されたのが、Fonte筆ペンとFonteガラスペンです。

Fonteガラスペン以外は、軸の中にコンバーターがついていて、好みのインクを吸い上げて使えます。また、同シリーズのカートリッジインクや、ヨーロッパ式のカートリッジインクも使用できます。



左がFonteガラスペン、右はFonte筆ペン。筆ペンの軸にはコンバーターが

ガラスペンだけは、つけペンとして使うため、空の軸が装着されているのです。

つまり、ペン先だけがガラス製。気軽に使える上、とても軽いです。

最大の特徴は、キャップがあること。

一般的にガラスペンはペン先から軸まで一体としてガラス製で、基本的には携帯せずデスクに保管して使います。もちろん、工夫してキャップを装着したり、安全なケースに入れて持ち運ぶことは可能ですが。
万年筆のような仕組みのガラスペンもありますが、その多くは高価なものです。
それが、このシリーズでは、本体750円とキャップ300円(いずれも税別)で購入できます。これはすごい。



軸は短めですが、軽いからか、このくらいでも気になりません。外したキャップをお尻に装着すると、重みがやや増して軸が長くなるので、書きやすく感じる方もおられるでしょう。
ちょっと軽すぎると感じる場合は、空の軸に何か重りになるようなものを入れてみるのも良いかも。私が購入したお店では、店員さんに「ビーズや天然石を入れるのも良いですよ」とオススメいただきました。なるほど。
昔ハマっていたビーズアクセサリー作りの材料が眠っているので、発掘してみようかしら。


インク瓶にペン先をつけてインクを吸わせる



筆跡はやや太め。ペン先を立てると書けないので、心持ち寝かせ気味に運筆しました。
気軽に使うガラスペンとして、これから持ち歩きたいなと思います。

購入したときに装着されている半透明のキャップは、かなりしっかりしています。



出先で使ったあとすぐにペン先を洗えないときなどは、一旦この半透明キャップをしてペンケースにしまうのもアリなのでは。

キャップは片手で外せるので楽

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プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊