シュワシュワした泡が出る二酸化炭素泉(炭酸泉)は、水に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収され、毛細血管を広げることで血流をよくします。温泉に入るだけでも、温熱効果により血流がよくなりますから、ダブルで血流アップに働くというわけです。【解説】早坂信哉(東京都市大学人間科学部教授・医師・医学博士)

解説者のプロフィール

早坂信哉(はやさか・しんや)

東京都市大学人間科学部教授・医師・医学博士。1968年生まれ、宮城県出身。自治医科大学医学部卒業。温泉療法専門医。浜松医科大学医学部講師、同大准教授、大東文化大学教授などを経て現職。医師として入浴や温泉に関する医学的な研究に取り組んでいる。著書に『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と渓谷社)などがある。

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二酸化炭素泉はダブルで血流アップに働く

シュワシュワした泡が出る天然温泉は、俗に炭酸泉と呼ばれますが、正しくは「二酸化炭素泉」です。

温泉法上は、湯中に炭酸ガス(二酸化炭素)を250ppm以上含有していれば、温泉として認められます。さらに、治療目的に使われる「療養泉」と名乗るには、炭酸ガスを1000ppm以上含んでいる必要があります。

二酸化炭素泉の主な効果は、やはり血流の改善です。水に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収され、毛細血管を広げることで血流をよくします。ただ温泉に入るだけでも、温熱効果により血流がよくなりますから、二酸化炭素泉は、ダブルで血流アップに働くというわけです。

炭酸ガスが多いにこしたことはありませんが、基準以上含んでいなくても、健康効果はあります。

市販の炭酸系の入浴剤を湯船に入れると、ガスの濃度は70~100ppm程度ですが、入れないよりは効果的です。ただし、溶けたガスは2時間ほどで抜けるので、入れたらすぐに入るのがベター。また、入浴時は換気をよくしましょう。

もう1つ、湯温が高いと炭酸が抜けやすくなります。ぬるめに設定しましょう。炭酸ガスにはプラス2度ほど温かく感じさせる作用があるので、それでも十分温かく感じるはずです。

二酸化炭素泉は地質的に、ヨーロッパに比較的多く存在します。一方、日本では非常に貴重で、温泉全体の0.6%しかありません。名前が似ていることから、「炭酸水素塩泉(重曹泉)」と混同されやすい傾向があります。

ここに、全国の主な二酸化炭素泉を挙げました。機会があれば、ぜひ訪れて効果を体感してはいかがでしょうか。