「FPに聞きたいお金のこと」、今回は住宅ローンと扶養について20代女性からのご相談です。

20代女性の相談内容

今年中古マンションを購入し、自分と母と妹が住んでいます。 母は父の扶養に入っており、父は現在車で20分ほどの会社兼自宅で祖父母と暮らしています。 妹は派遣社員で現在は父の扶養外です。 最近私が仕事の関係で引っ越し、住民票を別の県に移しました。 この場合、ローンを支払っている私が住んでいないため住宅ローン減税を受けられないことに気がつきました。 現状私が住んでいない状態で住宅ローン減税を受けることは不可能でしょうか。 また、この場合、保険料や税金等を考えると、会社員の私と自営業の父のどちらが母を扶養に入れた方がお得なのでしょうか。

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住宅ローン控除について


住宅ローン
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 住宅ローン減税が気になるところですね。住宅ローン控除を受けるには、原則として下記の要件を満たしている必要があります。

1.    住宅ローンの返済期間が10年以上であること
2.    自分自身で居住するための住宅であること
3.    床面積が50平方メートル以上であること(※)
4.    自宅で事業を営んでいる場合、床面積の「2分の1以上」を居住のために使用すること
5.    合計所得金額が2000万円以下であること(※)
6.    住宅の取得から6カ月以内に居住の用に供していること
7.    この特別控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。
※一部の例外があります

ここからはあくまでも一般論として述べます。そのためご相談者の方に当てはまるかは不明であることはご容赦いただきたいと思います。

住宅ローンを活用して住宅を購入した後、仕事の都合などで転居せざるを得ない時があります。このような場合、3つのケースが考えられるでしょう。

1.    債務者(住宅ローン契約者)のみ転居、家族はそのまま。住民票は異動しない

よく見られる単身赴任のケースです。家族がそのまま住んでいれば、住宅ローン控除はそのまま適用されます。

2.    債務者のみ転居、家族はそのまま。住民票を異動する

相談者の方のケースです。結論としては住宅ローン控除の対象になる可能性が高いです。少し長いのですが国税庁のホームページから引用します。

家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その家屋の取得等の日から6カ月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められる時は、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。

出典:国税庁「転勤と住宅借入金等特別控除等

国税庁は上記のように説明しています。相談者の方が転勤というやむを得ない事情で一時的に転居しているけれど、家族が引き続き住んでいるのであれば、住宅ローン控除の対象になります。なお、この場合、住宅ローン契約者の住民票の異動に関する規定はありませんので、今回のように住民票を移した場合でも適用されます。

3.    家族も含めて転居、住民票も異動する。なお住居は引き続き所有

このケースでは住宅ローン減税が適用されません。またこの場合は必ず金融機関に相談が必要です。なお、住宅取得から10年以内に転居先から戻り、住民票を戻して年末まで居住をしていれば、その年の住宅ローン控除が受けられます。

なお、家族も住まないからといって「金融機関に相談なしに持ち家を賃貸に出し、家賃収入を得る」のようなことがあった場合、住宅ローンの一括返済を求められても拒否できません。これは「住宅ローンは自家用のため低金利である」ことが前提であるためです。