現役の先生に、「最も優れていると思うツボ」を聞く本企画。今回は中国伝統医学の推拿の普及指導も行う、孫維良先生おすすめの「人中(じんちゅう)」です。ツボって、どこをどう押せばいいかわからない……という方、ぜひご覧ください。【解説】孫維良(東京中医学研究所所長)

解説者のプロフィール

孫維良(そん・いりょう)

東京中医学研究所所長。天津中医薬大学客員助教授。来日後は、推拿を実践しながら、臨床中医推拿塾を開講。推拿の普及を目指し、治療家の育成にも励んでいる。

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頭がスッキリする覚醒のツボ

日本で「人中(じんちゅう)」はマイナーではありますが、ツボの本場・中国では〝救急救命のツボ〟として広く知られていて、事故や熱中症などによって意識不明に陥った人の応急処置として使われています。脳梗塞の後遺症を治す際に、使われることもあります。

人中は、脳の血管を広げ、血流をよくする「覚醒」のツボで、頭をスッキリさせてくれます。試すとわかりますが、強い刺激を感じるので、押していると目が潤むかもしれません。でも、頭がクリアになって、目覚めたての朝のようにスッキリとするはずです。仕事や運転中に疲れや眠気を覚えたときにも活用できます。

ちなみに、人中の位置は、上くちびると鼻の中間という文献もありますが、私は鼻の付け根と捉えています。ここを、鼻の奥に向かって、人さし指でえぐるように押すのが最も効果的だと考えています。