映画『バビロン』に出演のマーゴット・ロビー、体当たりの演技でトップ女優への階段を駆け上がる

オーストラリアのテレビドラマでデビューして以来、着実にキャリアを積んできた女優、マーゴット・ロビー。2017年には『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』で第90回アカデミー賞主演女優賞候補に。そんな実力派のマーゴットが出演する最新作『バビロン』は、第80回ゴールデングローブ賞5部門にノミネートされ、作曲賞を受賞した。ハリウッド黄金時代の狂乱と堕落を描いた話題作について、マーゴット・ロビーが自身の熱い思いを語った。

脚本を読み、絶対に演じたいと思った役

舞台は1920年代、黄金期のハリウッド。サイレント映画から、トーキー映画へと移り変わる激動の時代を描いた話題の映画『バビロン』が2月に公開される。監督を務めるのは、『ラ・ラ・ランド』(2016年)で第89回アカデミー賞にて監督賞など6部門を受賞したデイミアン・チャゼルだ。

15年にも及ぶリサーチと世界観の構築の末に生まれた『バビロン』で脚本の執筆も手がけたチャゼル。物語に命を吹き込むために最初にキャスティングしたのが、劇中で力強いオーラを放つ“ショービジネス界で成功を夢見る無名の女優、ネリー・ラロイ”の役を演じる、マーゴット・ロビーだった。初めて脚本を読んだとき、これまでにないほど衝撃を受けたというマーゴットは「ネリーは絶対に、私が演じたいと思った」と語っている。

現在、ハリウッドで最もギャラが高い女優と言われているマーゴット・ロビーはオーストラリア・ゴールドコーストで生まれ育った32歳。大学卒業後、女優デビューを果たし、オーストラリアのテレビドラマに出演して人気者に。その後、マーティン・スコセッシ監督の映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)で主演のレオナルド・ディカプリオの相手役に抜擢され、若手注目女優の仲間入りを果たした。

さらにコミックスが原作の大ヒット映画『スーサイド・スクワッド』(16年)のハーレイ・クイン役で世界的にブレイクする。その際立つ存在感で、ファッション界からもラブコールが絶えないマーゴットは、「シャネル」のアンバサダーも務めている。そんな彼女が「ネリーの役は私のものよ!」と力説した最新作『バビロン』は、彼女にとっても特別な作品になったようだ。


映画『バビロン』
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「この作品は、これまで誰も試みなかった方法で、映画史の本当の変遷を描いている。誰もこんな形で当時のハリウッドを切り取った人はいなかった。私自身も、リサーチをして本当に驚いたわ。だって20年代はもっときちんとしていて、皆でチャールストンを踊っていて……というイメージだったし、スクリーンではそうやって描かれてきたのだから。でも実際は、とても破天荒で放蕩的な時代だった。まさにワイルド!こんなこと許されるの? って思うようなものがスクリーンに映し出される。現代の映画界なら、到底無理よ。あんなことはできないわ!」

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これまでの経歴、生涯において最も誇りに思える作品

そのマーゴットが言う“ワイルド”な時代のハリウッドで成功するために、脇目もふらず猛烈な勢いで突進していく女優志望のネリー。そのキャラクターは、数多のサイレント映画スターたちが着想源となっているが、中でもマーゴットはクララ・ボウという名の女優の人生がネリーのイメージと重なった、と振り返っている。

「クララは、貧しい境遇で受けたトラウマや虐待など、ひどい子ども時代を過ごした人。彼女の両親は、クララが生きながらえるとは予想していなかったので、出生証明書すら取得していなかった。そんな事実を知ったとき、ネリーというキャラクターが理解できた気がしたの。ネリーは、この地球で過ごす日々は、いつ終わってもおかしくないと感じていたから、毎日、全力で立ち向かっていたのだと」

ハリウッドの狂乱の日々を疾風のごとく駆け抜けたネリーを演じるのにはパワーが必要だったとも彼女は言う。

「この作品においての最大の挑戦は、ネリーであるためのスタミナを維持することだった。彼女を演じることはとても疲れるけど、やり切れると思ったわ。1日20時間働き、すべてのシーンで即興を要求してくる監督との仕事も経験済みよ。あらゆる仕事をしてきたし、私はこの仕事が大好きだから、弱音を吐くことはない。そんな私でさえ、ネリーは今までで一番、難しいキャラクターだった。だからこそ、出演した価値もあったし、私の生涯、そして経歴の中で最も誇りに思える仕事になったんじゃないかしら? チャゼル監督は自由に演じさせてくれた。それはネリー役だったからかもしれないけど、初めて本当の意味でアクセルを全開にするチャンスを与えてくれたことに感謝してるわ」

この作品では、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19年)以来となるブラッド・ピットとの共演も話題を呼んでいる。

「私はブラッドの大ファン。彼はすべてにおいて特別で、この作品でも異彩を放っている。実生活でも映画スターのブラッドが劇中でもそれを演じる。俳優が俳優を演じる舞台裏を覗けたのは、とても素晴らしい経験だったわね」

今後もバービー人形の実写版映画『Barbie』や『オーシャンズ11』シリーズの最新作など、話題作への出演が目白押しのマーゴットから目が離せない。


昨年12月に開催された『バビロン』のワールドプレミアに出席したマーゴット・ロビー。「アライア」の2023年春夏コレクションの大胆な黒のラップドレス姿で登場 ©2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.