新年を迎え一区切りというこの時期にやり残したことがあとひとつ。確定申告です。毎年申告をしている人もいれば、普段は職場の年末調整で済んでいるけど今年はやらなきゃという人もいるでしょう。今回は、会社員や副業を持つ人がやってしまう確定申告のよくあるミスや失敗を紹介します。

会社員でも確定申告が必要なケースのおさらい

収入がある人は確定申告をしなければならないのが原則ですが、会社員は、職場が年末調整をもとに所得税の納付をしてくれるため自身で確定申告をする必要はありません。しかし、転職や副業で2カ所以上から給与をもらった場合や、プチ開業など何らかの収入を得てその所得が20万円以上ある場合は別途、確定申告をしなければならなくなっています。

また、医療費が10万円超かかった場合や、マイホームを購入して初めて住宅ローン控除を受けるという場合も、年末調整ではできないため確定申告が必要です。

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確定申告で間違いやすいポイント


ポイント
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では、確定申告をするときに勘違いや思い込みで失敗してしまう「うっかりポイント」とはどのようなものがあるのでしょうか。

1.ふるさと納税の申告は忘れずに

会社員は、ワンストップ特例制度を利用するとふるさと納税をしても確定申告の必要はありませんが、住宅ローン控除を利用するなど何か別の理由で確定申告をする時は、このワンストップ特例制度は無効となります。必ず確定申告で手続きをしましょう。「寄付金控除」という所得控除が適用されます。

2.生命保険の受け取りの申告漏れに注意

加入している生命保険の満期金や解約金を受け取ると、確定申告が必要な場合があります。これらは一般に一時所得とされ、受け取った保険金から支払った保険料を差し引いた額が50万円を超えている場合は申告しなければなりません。保険金等の受け取りは頻繁にはないので見落としがちです。なお、医療保険などで受け取る入院給付金は、治療費の補填という意味合いから課税対象にはなりません(申告は不要)。

3.医療費控除の申告ミス

医療費が10万円超かかった時に差し引くことができる所得控除です。病院での診察代や薬代のほか、薬局で購入した風邪薬や胃薬なども対象になります。注意点は、医療費控除はあくまで治療にかかった費用が対象となるため、美容整形の費用や、歯科矯正でも見かけをよくするのが目的であるものは計上できません。また、健康維持や、病気を予防するためのマスクやサプリメント、栄養ドリンクなども対象外です。

また、健康保険からの給付金である高額療養費や、加入する医療保険から入院給付金などを受け取った場合は、その治療にかかった費用から差し引く必要があります。実際の治療費より入院給付金が多く支払われることもあるでしょう。その場合、対象となる入院からのみ差し引けばよく、それ以外にかかった医療費から差し引く必要はありません。意外と見落としがちですが、知っておくと医療費控除が正しく受けられます。

4.扶養控除の申告は収入要件に注意

親や16歳以上の子を扶養している場合は、扶養控除が受けられます。ただし、被扶養者の所得要件があるので注意が必要です。アルバイトをして給与がある場合は103万円以下(合計所得金額48万円以下)でなければ対象外となります。

5.所得20万円以下でも申告すべき!?

副業や単発の講演・執筆などでの収入があった場合は、前述のように給与以外の所得が20万円を超えなければ確定申告の必要はありません。しかし、医療費控除を受けるなどで確定申告をすることになった場合は、たとえ20万円以下であってもすべての収入を申告しなければならなくなります。それによって反対に税金の負担が増えるという場合には、敢えて医療費控除の申告は見送るという選択もできます。

また、副業などで得た収入は受け取り時に源泉徴収され、既に税金が引かれているケースがあります。その場合は、20万円を超えていなくても敢えて確定申告をすることによって、徴収された税金の還付を受けられることもあります。源泉徴収で差し引かれる税率は一律10%(+特別復興所得税)のため、確定申告ですべての所得を再計算した時の適用税率が仮に5%となった場合、多く徴収された分の還付を受けることができます。