今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、間もなく出産を迎える共働き夫婦が、子供をどちらの扶養にすべきか迷っているという相談です。

30代女性Tさんの相談

共働き夫婦です。現在妊娠中でもうすぐ子供が生まれます。生まれた子供はどちらの扶養に入れた方が得なのでしょうか。ちなみに今は私の方が年収は多いですが、育休復帰後、時短勤務をする予定なので、そうなると私の方が少なくなるか同じくらいになると思います。 また、1度夫に入れた扶養を外して私の方に入れ直すことはできるのでしょうか。 

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基本は収入が多い方。同じくらいなら3つを比べる


顔が描かれた積み木
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共働きの場合は、子供をどちらが扶養すると良いのか迷う方もいると思います。結論から申し上げると、基本は収入が多い方に入れることになるのですが、Tさん夫婦のように収入が同じくらいになるかもという場合には勤め先の健康保険(社会保険)から受けられる給付制度や、給与に上乗せして受け取れる家族手当(扶養手当)など福利厚生の違いを比較して魅力的な方の扶養にすると良いと思います。

今回は、夫婦の収入が同じくらいとした場合のポイントを見ていくことにしましょう。

子の扶養を考える時には、税務と健康保険、そして家族手当の3つの面を比較し検討します。

    税務上の扶養とは

まず、税務上の扶養に入れると扶養控除が受けられるようになり、その分税金の負担が軽減されます。ただし、16歳以上でなければ扶養控除の対象とならないためすぐには適用されません。(今後改正がなければ)子が高校生になると受けられると覚えておきましょう。収入が同じなら基本的に適用される所得税の税率も同じため税の軽減額も変わりません。

    健康保険の比較

次に、健康保険での扶養です。自治体ごとに子ども医療費助成制度があるため、医療費の自己負担はあまり大きくならないと思いますが、もし、ひと月の医療費が高額になり健康保険が定める負担上限を超えることがあれば、高額療養費という給付が受けられます。勤務先が大企業であるなどお勤め先によっては負担上限が低く抑えられ、手厚い内容になっていることがあるので要確認です。インフルエンザの予防接種費用が補助される健康保険もあるためその他の給付も含めチェックしましょう。

家族手当(扶養手当)の比較

最後に家族手当です。職場の規定により基本給に上乗せされる手当です。会社によって異なりますが、対象者を社会保険の扶養としているケースが多いようです。家族手当の有無、その金額を比較しましょう。毎月のことなので大事なポイントです。

このような3つの視点を理解し、収入が同じで夫婦のどちらの扶養にするか迷う場合は、健康保険の内容と家族手当などの内容を比較して有利な方を選びましょう。

また、ご質問にある扶養者の変更は可能です。
税金については、ご夫婦それぞれが年末調整の書類「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で変更を申し出ます。16歳未満の場合は、前述のように扶養控除の適用はありませんが、市町村にも連携されるため必ず提出しましょう。健康保険や家族手当は、勤め先の総務課など担当部署に申し出ます。