手の甲に青く浮き出た血管が目立つ「ハンドベイン」。特に痛みや不快感はありませんが、自分の手は常に目に入る部分だけに、一度ハンドベインが気になりだすと悩みはなかなか薄れないものです。ハンドベインの治療はどのようにおこなわれるのか、ハンドベイン治療の第一人者である大阪静脈瘤クリニック院長の佟暁寧(とう ぎょうねい)先生にお聞きしました。

教えてくれたのは…

監修/佟 暁寧 先生
大阪静脈瘤クリニック院長。2010年9月清華大学第一附属病院心臓血管外科医員、2011年9月清華大学大学院心臓血管外科専攻博士課程、2018年4月大阪大学医学部附属病院心臓血管外科などを経て2019年4月伏見静脈瘤クリニック入職。2021年7月現クリニック入職。下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医。

まずは無料のカウンセリングで手と腕の状態を診察



――ハンドベインで受診した際、どのような流れで診察がおこなわれるのでしょうか。

佟先生 僕が院長を務めるクリニックの場合、まずはご来院いただいて無料のカウンセリングをおこないます。具体的には20分から30分ほど時間をかけてお客さん(※ハンドベインは病気ではないため、佟先生はあえて「お客さん」と呼んでいます)からお話を聞いて手の血管を診察し、気になる血管の治療が可能かどうかを判断します。僕は医師ですから、カウンセリングの際にはご自身の基礎疾患もお聞きします。

――基礎疾患がある場合、治療を受けられないこともあるのでしょうか。

佟先生 いくらご自身がハンドベインを気にされていたとしても、例えば腎臓が悪くて人工透析の一歩手前のような方はハンドベインの治療を受けている場合ではありませんから。基礎疾患に問題があると判断した場合は、治療をお断りすることもあります。また、60代以降のお客さんの場合は、カウンセリングの後にかかりつけの医師にお手紙を書いて、僕自身の所見とともに先生の見解などをうかがうようにしています。

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直径3mm未満の細い血管には注射による「硬化療法」



――佟先生が「この方にはハンドベインの治療が可能」と判断されたあとは、どのような治療がおこなわれるのでしょうか。

佟先生 ハンドベインの治療には「硬化療法」と「レーザー治療」があります。硬化療法は、直径3mm未満の細い血管に対して、ポリドカスクレロール®という薬剤を最適な濃度に調整して注射する治療です。注入した血管は固まって、3カ月ほどで自然に体内に吸収されます。手の甲の血管は網の目状に走行しているので、薬剤の広がりを利用することでムラのない治療効果が得られます。

――ポリドカスクレロール®は安心な薬剤なのでしょうか。

佟先生 すでにさまざまな疾患に使用されている薬剤で安全性が確立しています。ポリドカスクレロール®は濃度が高いほど固まりやすく、低いほど固まりにくいという特徴があり、固まりやすいほうが治療効果は高いんです。ただし、過度に固まり過ぎると炎症や色素沈着などの合併症が起こりやすくなります。逆に濃度が低いと固まらないため治療効果が不十分になります。そのため、血管の状態や太さ、治療する範囲に応じて適切な濃度を見極めることが重要なんです。

僕のクリニックでは、血管を適切に固めながら合併症を最小限にできるよう、濃度を0.1%単位で調整して治療をおこなっています。

――硬化療法はカウンセリングの後、すぐに受けられるのでしょうか。

佟先生 はい、カウンセリングと同じ場所でそのまま注射をします。所要時間は両手を合わせて10分程度です。

――治療後に生活の制限はあるのでしょうか?

佟先生 僕のクリニックでは注射の後、肘のあたりまで包帯を巻くので、就寝時まで6時間ほどそのままの状態でいてもらいます。その後は包帯を外して普通の生活を送っていただいて問題ありません。

――注射には「痛い!」というイメージがあるのですが……

佟先生 例えば出産の痛みを10として痛みがない状態を0とすると、硬化療法の度合いは0.5程度です。

――硬化療法の効果はいつごろから表れるのでしょうか?

佟先生 効果はすぐに出ます。僕のインスタグラムには硬化療法後、すぐに血管が消える動画があるので見てみてください。

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