私は小さい頃から、「管理」がとにかく苦手だった。

整理整頓が苦手でよくモノを失くすし、スケジュール管理も苦手で何度かダブルブッキングをやらかした。

そんななかでも特に苦手なのが、お金の管理。

デザインに惹かれて何冊かお小遣い帳を買ったが、すべてまっさらなまま。親から「バイト代が支払われているか確認しなさい」と言われても「まぁ支払われているだろう」と確認せず、通帳記帳なんてのもしたことがない。

それは30歳になった今も変わらず、家計簿はつけないし、預金残高もざっくりとしか把握していない。

でも今までは、それでも困らなかったのだ。
そう、「今まで」は。

100万円=9,000ユーロが、100万円=7,000ユーロに!?

あらかじめお伝えすると、私は金遣いが荒いわけでも、お金の管理をしなくても問題ないお金持ち、というわけでもない。単純に、面倒くさがりなだけ。

でも今までは、それでも困らなかった。

毎月振り込まれる給料よりも支出が少なければ、しぜんとお金は貯まっていく。
それなら苦手な管理なんてしなくても、別に問題ないはず。そう思っていた。

そんな私だが、ここ最近の経済状況を鑑みて、「さすがにちゃんとしないとまずいかも」という危機感を持つようになった。

なぜなら、お金を遣っていないのに、生活が苦しくなっているから。

私が大学を卒業してドイツに移住したとき、ユーロ危機直後で、たしか1ユーロ103円くらいだった。1ユーロ110円だとしても、100万円=9,091ユーロ。

日本円をユーロでドイツの口座に送金しても、「まぁちょっと減っちゃったけどしょうがないかな」くらいだった。

でもみなさん、現在1ユーロがいくらか知ってます?
143円ですよ、143円!!(2023年2月16日現在)

ニュースでは「ドル高」なんて言われているが、円の価値が低くなっているのだから、ばっちり「ユーロ高」でもある。

つまり、100万円稼いでも、今は6,975ユーロにしかならない。
10年前は100万円=9,000ユーロだったのが、今や7,000ユーロ! びっくりするくらい減っている!

しかも、ロシアのウクライナ侵攻によりヨーロッパ全土で物価が急上昇。

週末の買い物が今まで60ユーロくらいだったのに、気付いたら70ユーロもするではないか。なにを買っても、今までよりちょっと高い。電気代なんて2倍になるという噂だ。

ユーロで表現するとピンとこないかもしれないが、日本でも物価上昇は話題になっていると思う。
みなさんも、「スーパーの買い物でちょっと出費が増えている」「いつも行っているレストランが値上げしていた」なんて経験があるんじゃないだろうか。

普段通りの生活をしているだけなのに、なんだかお金が減っていくぞ…。

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遣わなきゃお金は貯まるだろう、という認識はまちがい

【画像出典元】「vectorfusionart/Shutterstock.com」

物価上昇とはつまり、「お金の価値が下がっている」ということだ。

私が小さい頃愛読していた月間少女漫画雑誌『りぼん』は、当時500円以下だった。
500円玉を握りしめて、キックボードで坂の下の本屋に買いに行っていたから、よく覚えている。

そういえば今いくらなんだろう?と調べてみたらびっくり!
税込み630円になっていた(2023年3月特大号)*1。

つまり、『りぼん』を買うために500円貯金していたとしても、値段が上がった今、その500円で『りぼん』は買えない。

極論ではあるが、手元に100万円あっても、モノの値段が倍になれば、50万円ぶんしか買い物ができないのだ。

今までの人生で大きな「価格変動」を経験したことがなかったから意識しなかったが、お金の価値は、常に一定なわけではない。

今までのように暮らしていても、お金は増えないどころか、価値が下がって相対的に目減りしていくこともありうる。

…なんてこった!
ちゃんと私は働いてるのに! 無駄遣いせずつつましく暮らしてるのに!

「遣わなきゃお金は貯まるだろう」という私の認識はまちがっていたんだね…。