資産運用商品の中でも、比較的安全性の高いものといえば、「公共債」。なかでも個人向け国債は、元本保証される手堅い資産運用方法として、安定した人気があります。

実は公共債には他に「地方債」という債券があるのをご存じですか?地方債とはどのようなものでしょう。その内容や利率、メリット・デメリット、どのような時に買ってみたら良いかを説明します。
 

地方債とは「県債」や「市債」といった地方公共団体が発行する債権


手のひらの日本地図
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「地方債」とは、都道府県や市区町村などの地方公共団体が財政収入不足を補うために発行する債券のことです。国の事業のために国が発行する「国債」と同じような仕組みですが、地方債は、発行した自治体内の公共施設の建設事業や、電気・ガス・水道など公営企業の経費など、国債よりもっと身近な目的のために利用されます。また、社会保障費や災害復旧事業のためなどにも使われます。

地方債は、固定金利制で半年ごとに利払いがあり、1万円から購入できます。証券会社や金融機関を通して購入し、償還期間(債券の発行日から満期日まで)は2~10年です。

地方債には、公募地方債と銀行等引受地方債がありますが、個人で購入できるのは、主に公募地方債です。

公募地方債には、「全国型市場公募地方債(個別債)」「住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)」「共同発行市場公募地方債(共同債)」の3種類があります。
この中で個人が利用できるのは「全国型市場公募地方債(個別債)」「住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)」の2つです。

全国型市場公募地方債(個別債)は、都道府県や政令指定都市が単独で発行し、広く債券の購入者を募るもの。

住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)は、発行する自治体に住んでいる人や法人を購入対象にしています。より行政への参加意識が高まる投資方法といえますね。

また、共同発行市場公募地方債(共同債)は、複数の都道府県や市区町村がタッグを組んで発行することで、コストダウンや安定的な資金調達を目指しているものです。

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地方債のメリットは利率の高さと安全性


虹のかかる空と街並み、家のミニチュア
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では、地方債にはどのようなメリットがあるのでしょう。

まずいちばんに注目したいのは、利率が高いことです。しかも、発行している地方公共団体ごとに利率が違います。例えば、2017年10月23日に発行された神奈川県の全国型市場公募地方債(個別債)の10年債利回りは、0.230%となっています。国債や、銀行の10年定期預金などと比べてみれば、その高さは一目瞭然です。

また、安全性も国債と同じように高いものとなっています。なぜなら地方債は、財政赤字などの場合は新規発行が制限されるからです。しかも利息や償還金の支払いのための財源が地方交付税などから確保されており、償還日(満期日)まで持ち続けるのであれば、リスクはかなり低いといえるでしょう。