キャリア官僚がなぜ...「デートレイプドラッグ」で“闇落ち” バーやネカフェで女性にわいせつ行為

経済産業省のキャリア官僚・佐藤大被告(33)が知人女性に睡眠薬を飲ませ、意識をもうろうとさせた上で性的暴行を加えたとして「準強制性交等未遂」「準強制わいせつ」などの罪に問われた裁判の初公判が15日に東京地裁で開かれ、被告人は起訴内容を認めた。これを受け、経産省は佐藤被告を同日付で懲戒免職処分にすると発表した。

“爽やかな青年”の面影はなく…

「キャリア官僚がなぜ…」

そんな関心からか、東京地裁では開廷前から傍聴希望者が列をなしていた。傍聴席はほぼ満席。今年1月、警察に連行された際の佐藤被告はスーツを着用した“爽やかな青年”といった印象だったが、初公判では上下グレーのスウェットにいわゆる“便所サンダル”のようなものを履いており、にわかに同一人物とは信じがたい容貌だった。

冒頭、佐藤被告は裁判長に促され証言台へ。検察が起訴内容を確認する文書を読み上げると、背筋を伸ばして耳を傾け「公訴事実について認めます」と述べた。

佐藤被告は複数の女性に対して、睡眠薬を混ぜた飲み物を飲ませて性的暴行を加えたと見られ、今年1〜5月に5回逮捕されている。いわゆる「デートレイプドラッグ」による犯行だ。15日の初公判では、そのうちの1人で20代のAさんに対する加害について起訴事実を認めた。

港区のダーツバー、足立区のネカフェで…

佐藤被告はAさんに二度の加害行為をしている。一度目は昨年11月20日に港区のダーツバーでドリンクに睡眠薬を混入させ、意識がもうろうとしたAさんをホテルに連れ込み性交しようとしたものの未遂に終わった。

二度目は昨年12月25日に足立区のネットカフェでソフトドリンクに睡眠薬を混入させ、眠気で意識がもうろうとするAさんの左胸を着衣の上からもんでいる。Aさんはソフトドリンクを飲んだのにもかかわらず強烈に眠たくなったことや、ドリンクが苦く感じたことに違和感を覚えたことから警察に相談し、佐藤被告の逮捕につながった。

法廷でAさんの供述調書が読み上げられている最中、佐藤被告は背中を丸め、うなだれながら被告人席に座っていた。Aさんは事件後、気分が落ち込んだり怒りに震えることもあり、普通の日常に戻れていないという。佐藤被告に対しては「厳重処罰」を望んでいるそうだ。

キャリア官僚を性犯罪に駆り立てたもの

佐藤被告はAさん以外にも複数の女性に対して同様の犯行に及んだと見られ、1月にAさんへの加害行為で逮捕された後、5月までに4度再逮捕されている。15日の初公判で審理されたのは、Aさんに対して昨年11月と12月に加害した2つの事件について。検察は追起訴の可能性も示唆しており、次回以降の期日で余罪に関する審理も進められる見込みだ。

また初公判では、キャリア官僚が「性犯罪者」に落ちぶれた動機については明かされることがなかった。何が佐藤被告を性犯罪に駆り立てたのか、今後の裁判が注目される。