肩や首が重い、腰や膝が痛む、疲れやすい、イライラしやすい、下腹ぽっこりが気になる……。こうした不調やコンプレックスは、「年のせい」「忙しいせい」と考えてしまいがちです。今年1月に発売以来、話題を呼んでいる書籍『背中をゆるめると健康になる』の著者であり、ウォーキングインストラクターの犬飼奈穂さんによると、さまざまな不調の原因は「背中が硬くなっていること」で引き起こされている場合があると言います。背中が硬いとはどういう状態なのか、ゆるめるとどうなるのかをお聞きしました。
教えてくれたのは…
犬飼奈穂さん/ウォーキングインストラクター
「しんどい」を「楽しい」に変える歩き方コーチ。あらゆる動作の基本となる日常の姿勢と歩き方の大切さを痛感し、自身の経験に理学療法士から学び得た知識を加えて歩き方の独自メソッドを確立。「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、余計な力を入れず、良いバランスで立ち、背中で歩くことを指導している。これまでに述べ6,000人以上に指導し、肩凝り・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、体が抱える数々の悩みを改善してきた。
硬くなった背中の筋肉があらゆる不調の原因に
――「背中が硬くなっている」というのは、どのような状態のことなのでしょうか?
犬飼さん 背中の筋肉が凝り固まっている、という意味です。スマホを使う、料理をするなど、私たちは普段の生活の中で体の前側の筋肉ばかりを使っていて、背中の筋肉はほとんど動かしていないんです。動かさないでいると、筋肉は硬くなってしまうんです。
――背中の筋肉が硬くなると、体にどんな悪影響を及ぼすのでしょうか?
犬飼さん 背中の大きな筋肉の一つに「広背筋」があります。広背筋が硬くなって背中の周囲の筋肉が不自然に引っ張られると、肩凝りや巻き肩、腰痛、O脚などを誘発し、呼吸も浅くなります。
呼吸が浅くなると酸素を十分に取り込むことができず、体内の酸素量が減って疲れやすさや冷え、集中力の低下などを引き起こしてしまいます。
また、筋肉が硬くなると血流が滞ってリンパの流れも悪くなり、代謝も下がってしまいます。広背筋が硬くなるとあらゆる不調を引き起こすといっても過言ではないんです。
――では背中をゆるめると、それらの不調が改善されるということですね。
犬飼さん はい、私の生徒さんの中には、肩凝りや腰痛がラクになったという方がたくさんいらっしゃいます。
また、背中をゆるめると呼吸に必要な筋肉もゆるむので、深い呼吸ができるようになります。その結果、疲れやすさや冷えなどの改善も期待できます。
さらに、背中がゆるむと寝返りがしやすくなり、睡眠の質が上がります。睡眠中、長時間同じ姿勢でいると筋肉や骨に負担がかかってしまうため、良質な睡眠には寝返りが欠かせないんです。
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背中をゆるめるだけでスタイルアップも
――ウーマンカレンダー世代は太りやすい年代でもあるのですが、ダイエット効果もあるのでしょうか?
犬飼さん 食事制限などをしなくても、背中をゆるめるだけで痩せることができます。ここでいう「痩せる」とは単に体重が減ることではなく、洋服のサイズが下がる、おなかが引っ込むといった見た目が変わる、スタイルアップすることを意味します。
背中の筋肉をゆるめて重心を上げるだけで骨や内臓が本来の位置に戻り、スリムに見える上に痩せやすくなるんです。私の生徒さんの中には、歩き方と姿勢に気を付けるだけで3カ月ほどでパンツがワンサイズダウンした方がたくさんいらっしゃいます。