年収1,000万円・61歳元大企業の部長…定年後の悠々自適生活に陶酔も、「100万円が水の泡」のワケ【FPが解説】

3.退職前・退職後に「必ずやるべきこと」

退職時に必要な手続きについて、退職前と後にわけてそれぞれみていきましょう。

3-1退職前(退職日まで)に受け取るもの一覧

  • (1)離職票
  • (2)雇用保険被保険者証
  • (3)年金手帳
  • (4)健康保険資格喪失証明書
  • (5)源泉徴収票

(1)離職票

離職票は、ハローワークに提出するために必要です。失業手当を受け取りたい場合は必ず勤務先から受け取る必要があります。なお、会社に自ら申請しないと受け取れない場合もありますので、ご注意ください。

(2)雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は、雇用保険に入っていたことを証明する書類です。退職後に他の企業に転職する場合は転職先の企業から提出が求められるため、退職時に必ず受け取るようにしましょう。

(3)年金手帳

年金手帳は、もしも会社に預けている場合、必ず返してもらいましょう。

(4)健康保険資格喪失証明書

健康保険資格喪失証明書は、健康保険の被保険者でなくなったことの証明書類です。退職により国民健康保険に切り替える際に必要となります。

なお、こちらは会社からもらえないケースもあります。会社から受け取れない場合は、年金事務所へ申請して受け取るようにしましょう。

(5)源泉徴収票

源泉徴収票は、自分で確定申告をしたり、転職先の会社で年末調整をしてもらったりするために必要になります。

なお、住民税については、退職後はご自身で支払う必要があります。お住まいの地域の住民税担当窓口で確認するようにしましょう。

3-2.退職後にすること一覧

  • (1)失業保険の申請
  • (2)健康保険の切り替え
  • (3)年金保険について確認する

(1)失業保険の申請

退職後にすぐ就職しない場合は、失業保険(雇用保険)を受給することができます。雇用保険に加入していて、退職前の2年間で12ヵ月以上の加入期間がある等の条件を満たせば受給が可能です。

なお、申請期限は退職の翌日から1年以内となっています。待機期間(給付制限)もあるため、すぐにもらえるものでもありません。Aさんのようにのんびりしていて受給できないことのないよう、早めに手続きしてしまいましょう。

(2)健康保険の切り替え

定年退職後、健康保険に加入するパターンはいくつかあります。

A.まず、退職後すぐに就職する場合は新しい勤務先の健康保険に加入します。

B.国民保険に加入する場合は、お住いの市町村役場で退職後14日以内に手続きを行う必要があります。もし、14日を過ぎてしまった場合、届け出までにかかった医療費は全額負担になってしまいますのでご注意ください。

C.任意継続被保険者制度を利用して、前の勤務先の健康保険に継続して最長2年間加入することもできます。ただし、会社折半だった健康保険料は全額自己負担となりますので、金額も考慮したうえで利用してください。なお、希望者は退職後20日以内に手続きを行う必要があります。

D.家族の勤務先の健康保険の被扶養者となることもできます。ただし、この場合は次のような条件に当てはまっている必要があります。

  • 被保険者は、配偶者または3親等以内の親族であること。
  • 被保険者により生計が維持されていること。
  • 被扶養者となる者の年収が130万円未満で、かつ被保険者の収入の2分の1未満であること。

なお、失業保険を受給していると、被扶養者となることができない場合もあります。

(3)年金保険について確認する

退職後すぐに就職する場合は、就職先が厚生年金の適用事業所であれば70歳になるまでは厚生年金保険に加入できます。また、働きながら年金を受け取ることもできますが、減額(支給停止)になることもありますのでご注意ください。

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4.老後のお金を考えるうえで不可欠な「インフレ」対策

高齢者にとって一番怖いのは「インフレ」です。預金金利は上がらず、年金額は上がったとしても物価上昇率に追いつかないため、努力して蓄えた老後資金の目減りが進むことになります。

2022年から上がり始めた物価ですが、この値上がりは一時的なものかというと、筆者は「今後もしばらくは続くのではないか」と予想しています。人口減少による経済力の低下で円安が続き、人件費は上げざるをえません。

日本銀行は「2%物価目標」を掲げていますが、もし、2%ずつ物価が上がっていった場合、生活費は約20年後には1.5倍、約35年後には2倍となる計算です。つまり、夫婦2人の生活で現在毎月25万円ほどの生活費がかかっているとすると、約20年後には37.5万円になり、約35年後には50万円かかるということになります。

そこで、老後資金をできるだけ長生きさせる方法を考え、定年退職後も元気なうちはできるだけ働いて収入を得ることがインフレ対策となります。

4-1.「住宅ローン」「介護問題」なども事前に対策を

また、昨今では晩婚などさまざまな要因から、定年退職後も住宅ローンがのこる家庭が増えています。定年退職の時点でどのくらい残債があるかは、事前に確認しておくべきです。

なお、医療や介護にかかるお金も人手不足等により大きくなっていくことが予想できます。60代、70代はまだ元気でも、80代になると病気やケガによる入院の確率が高まります。加入している医療保険の保険証券などで、満期の時期等を確認しておきましょう。

老後のために個人年金保険に加入している方も多いですが、こちらも受給期間(いつからいつまで受け取れるのか)を必ず確認しておくべきです。

さらに、老後は夫婦2人で過ごす期間と1人で過ごす期間にわけられます。資産状況や保険の内容を夫婦間で確認して、1人になったときの住まいや暮らし方についても元気なうちに考えておかなければなりません。

まとめ

定年退職を前に、考えておく必要があるのは次の4つです。

  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 税金(確定申告・年末調整・住民税)
  • マネープラン(住宅ローン・保険等)

雇用保険(失業手当)をはじめ、定年退職後まもなく申請期限があるものもありますので、在職中から準備しておく必要があります。老後の期間は長くなっていますから、住まいやお金の問題も含めて1人で抱え込まず、家族で話し合うようにしましょう。