あごの痛みを引き起こす病気とは?

口を開けるとあごが痛い、ものを噛んだときにあごに痛みがあるなど、一度はこのような経験をされたことがあるかもしれません。痛みを感じる頻度は人によりさまざまです。痛みを感じる部位やその頻度に沿って、その原因を探っていきます。

1.あごの痛みを引き起こす病気とは?

1-1.顎関節症

「あごが痛い」原因の多くは、顎関節症によるものです。顎関節症は、あごの関節やその周囲の筋肉の痛み、開口障害を主な症状とする病気で、通常はあごの使い過ぎによって起こります。あごが大きくて頑丈な人と、ほっそりとして華奢(きゃしゃ)な人がいるように、人にはそれぞれもって生まれたあごの丈夫さがあり、顎関節症はその人のあごの耐久限界を超えるほどあごの関節や筋肉を酷使したときに起こる、というのが現在の考え方です。簡単にいえば、顎関節症は筋肉痛やねんざに近い病気なので、時間とともに自然治癒するのが普通です。

1-2.側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん)

側頭動脈炎は自己免疫疾患で、自分の免疫細胞が自分の動脈の壁に対し攻撃をしてしまうために炎症が起こります。その結果、血管の壁が厚くなり、血管の内腔が狭くなって、最終的に動脈がつまってしまう病気です。リウマチ性多発筋痛症を合併している場合もあります。

1-3.舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)

脳からは左右12対の脳神経が直接出ており、それぞれに役目があり番号と名前がついています。舌咽神経は、第9神経であり、味覚やのど・舌の奥の部分の感覚を司っています。この神経に起こる神経痛を舌咽神経痛といいます。

上記の3つの病気以外にも、咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ばれる顔の筋肉が筋肉痛を起こしたり(筋筋膜痛)、口内炎や虫歯ができた場所によって、あるいは親知らずが炎症を起こすなどでもあごの痛みが出ることがあります。

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2.あごの痛みを引き起こす病気の症状

1-1.顎関節症の症状

顎関節症は、前述した通り、あごの痛みのほか、あごの関節やその周囲の筋肉の痛み、開口障害などが主な症状です。次第に病気が良くなる可能性が高いので、症状が長引くことはほぼありません。しかしながら、どんな治療をしても全く痛みが改善せず、顎関節症の症状が何年にもわたって続いているという難治性顎関節症の患者さんもいます。

2-2.側頭動脈炎の症状

側頭動脈炎の発症平均年齢は60代後半から70代です。全身の動脈の内腔が狭くなる全身疾患ですから、発熱、倦怠感、食欲不振、体重減少などの全身症状が出ます。

あごの筋肉に血液を送る動脈の内腔が狭くなると、「食事をするとあごが痛む」という症状が出るため、顎関節症のように見えることがあります。痛みが起こるのは採血時に腕をしばられて手を握ったり開いたりするとたちまち腕に痛みが起こるのと同じです。十分な血液が供給されない状態で筋肉を運動させたときに起こる痛みで、「阻血性疼痛(そけつせいとうつう)」といいます。

2-3.舌咽神経痛の症状

舌咽神経痛は加齢により脳の血管が硬くなり、蛇行して、舌咽神経に食い込むようになるために起こるとされています。したがって、通常は50歳以上で発症するとされています。

舌咽神経の支配領域は舌の後方3分の1、耳の奥、下あごのえらの奥、のどの奥などです。痛みは深いところで起こるため、患者さん自身には痛みの部位がはっきりわからないことも多く、「あごの関節が痛い」と自覚する人もいます。その他、開口時や食事をする際に痛みが出るなどの症状があります。