公的年金への不安が高まった「老後資産2000万円問題」から数年。果たして公的年金だけで暮らしていけるのか?そもそも年金はもらえるのか? 老後を考えると不安なことばかりです。今回は、老後を迎える前に準備しておきたいことを中心に、「老後のお金」について一緒に考えていきましょう。
老後はいくらあれば安心?イメージしてみよう
まず皆さんに質問です。「老後と聞いてどのようなイメージをお持ちですか?」「老後いくらのお金があれば安心ですか?」
悠々自適にセカンドライフを楽しみたい、働いている時には行けなかった海外旅行にたくさん行きたい、田舎に引っ越してのんびりと暮らしたい、等々いろんな夢があるでしょう。どれもお金がかかりそうですね(笑)。
人生の3大支出(教育資金、住宅資金、老後資金)の中でも、どれだけ必要になるか読めないのがこの老後資金です。いつまで生きることができるのか、どんな病気に罹るか、これが分かれば事前に備えることができますが、そんなことは誰にも分かりませんね。だからあらゆることを想定して備える必要があるでしょう。
まずは1)現状を確認して、次に2)想定できるリスクを考え、そして最後に3)貯蓄や保険でどこまで備えるかを検証していきましょう。
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1 現在年金暮らしをしている世帯の現状
総務省の調べによると、65歳以上の高齢者で仕事をしていない世帯の現状は、収入が約21万円(社会保障給付等)、それに対し支出が約26万円(生活費や余暇費用、社会保険料や税金等)です ※1)。その差額約5万円が毎月赤字で、貯蓄を取り崩しながら生活しているということになります。
ではこの赤字分を何年分準備すれば良いのでしょうか。平成27年簡易生命表によると65歳の平均余命は男性で約19年、女性で約24年となっています ※2)。よって90歳くらいまでの25年間分は準備しておきたいものです。
これを計算すると、毎月の赤字「約5万円」×12ヵ月×25年=約1500万円となります。普通に生活するだけでも、公的年金だけでは暮らすことができないことが分かります。
※1)総務省「家計調査報告」(平成28年)
※2)厚生労働省「簡易生命表の概況」(平成27年)