今後は何が起こるのか?


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では、日銀が2度にわたって変動幅を拡大した結果、何が起こったのでしょうか?下図をご覧ください。

引用元:フラット35「借入金の推移

長期金利の変動幅を「0.25%→0.5%→1%」と拡大した結果、それに呼応するように、住宅ローンの固定金利の上昇が始まっています。この図の中から直近の1年間を抜粋したのが下図です。

フラット35「借入金の推移」より一部抜粋

令和5(2023年)年8月の時点での金利は最高で3.080%ですが、この利率は今後恐らく増えて行くことが予想されます。

これに対して変動金利型の住宅ローンは短期金利に影響を受けるため、長期金利の上昇と直接的な関係はないものの、このまま物価上昇が続けば今後は短期金利も上昇する方向に働く可能性が高いといえるでしょう。

こうした長・短金利の上昇は住宅ローンだけの話ではなく、企業が金融機関から調達する資金の金利にも大きな影響を与えるため、今後は収益が減少したり設備投資を控えたりする企業が増えてくるかもしれません。もちろん、こうした影響は、みなさんの給料や賞与にも大きく関係することになります。

一刻も早くディマンドプルインフレの達成を

日銀は、2016年以降物価上昇の目標を2%に設定し、景気回復に対する施策を打ち続けています。直近の数字を確認してみると、2023年の消費者物価指数は前年同月比で3.3%上昇しており、物価上昇率が3%のアメリカを逆転し、日銀は物価目標を達成したようにも見えます。

しかし、日本とアメリカの物価上昇の内訳はまったく違います。景気が良く、需要が高まった結果物価が上昇を続けるアメリカ(これを、ディマンドプルインフレといいます)に対し、日本の場合は、エネルギー資源高と円安による物価上昇(これを、コストプッシュインフレといいます)です。

このままの状態が続けば、日銀が設定した2%の物価上昇目標は達成できますが、物価が上がれば金利も上昇するため、私たちの暮らしはさらに厳しくなることが予想されます。少子高齢化が進む現状では、打てる施策は限られていますが、一刻も早く有効な対策を行い、ディマンドプルインフレによって2%の物価上昇を達成できるようになってほしいものです。