やさしかった夫が怒りっぽくなったり、明るかった夫が急に暗くなったり。40代・50代になり「夫が変わった」と感じることはありませんか。さまざまな原因が考えられますが、1つには「男性更年期症状」があります。欧米では認知度が高いものの、日本ではまだ知らない人も多いようです。そこで、泌尿器科医でありメンズヘルスにも詳しい窪田徹矢先生に妻が知っておきたい「男性更年期症状」の基礎知識と対応について聞きました。

監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)
獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouTuberとしての情報発信もおこなっている。

男性更年期症状とは?



男性ホルモンが減ることで表れる心身の変化

女性の更年期症状は女性ホルモンが減ることで起こるものですが、男性の場合はどうなのでしょうか。

「男性更年期症状は、男性ホルモンであるテストステロンが年齢とともに減ることで引き起こされます。女性と似ている症状も多くありますが、男性の場合は性機能の低下があることが大きいですね。

クリニックに男性更年期症状を訴える方には、まず問診を受けていただきます。そのとき、Aging malesʼ symptom(AMS)スコアという質問表が用いられます。各症状について当てはまる程度を選び、合計点数によって症状を判断します」(窪田先生)。

男性更年期症状をチェックするAMSスコア

【ハイネマンのAMSスコア】

症状    ない    軽い   中等度    重度非常に重度                       点数123451総合的に調子が思わしくない
(健康状態、本人自身の感じ方)123452関節や筋肉の痛み
(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)123453ひどい発汗
(思いがけず突然汗が出る、緊張)123454睡眠の悩み
(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早い、疲れが取れない、浅い睡眠、眠れない)123455よく眠くなる、しばし疲れを感じる123456イライラする
(当たり散らす、ささいなことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)123457神経質になった
(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない)123458不安定
(パニック状態になる)123459身体の疲労感や行動力の減退
(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味がない、達成感がない、自分をせかさないと何もしない)1234510筋力の低下1234511憂うつな気分
(落ち込み、悲しみ、涙もろい、食欲がわかない、気分むら、無用感)1234512「人生の山は通り過ぎた」と感じる1234513力尽きた、どん底にいると感じる1234514ひげの伸びが悪くなった1234515性的能力の衰え1234516早期勃起(朝立ち)の回数の減少1234517性欲の低下
(セックスが楽しくない、性交の欲求が起こらない)12345                     合計【症状の程度】17~26点:なし、27~36点:軽度、37~49点:中度、50点以上:重度 
※Heinemann aging male‘s symptoms scoreを基に表を作成。※症状の程度は目安です。

この質問表をチェックしてみて、27点以上になるようなら、メンズヘルスを標榜するクリニックの受診をおすすめします」(窪田先生)。

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妻のやりがちNG対応とは?



責めるのはNG

男性更年期なのかなと感じたら、妻が気を付けるべきことはありますか。

「相手を責めるのはやめたほうが良いです。男性は完璧主義の人が多いので、これまでできなかったことができなくなることで落ち込んだり、イライラすることも増えることもあります。

そこを責め立ててはさらに状況が悪化するので、思いやりをもって接してほしいと思います」(窪田先生)。

責めるのではなく味方になってあげて

それでは、具体的にはどんなことをしてあげると良いでしょうか。

「例えばうつっぽい症状があった場合、心療内科や精神科などに行くことが多いと思います。まずはそれでも良いのですが、しばらく通院しても良くならない場合は男性更年期の疑いを提案してみると良いでしょう。そのとき、先ほど紹介したAMSスコアを活用すると説得性が高まりますね。

男性更年期症状はメンズヘルスを標榜するクリニックで治療ができます」(窪田先生)。